緋弾のアリア最高の相棒 ―THE BEST PARTNER―

□第5弾
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「あら、お邪魔だったかしら?」

遊戯室に入るなりオレは言った。

なぜなら、アリアとキンジが抱き合うように倒れていたからだ。

キンジお前もやっぱ男だったんだな……


「こ、ここここれはちが……ちがうんだか……」

ガガアアアン

うお、雷近いな。


「くぅ〜」

小動物のように震えながらキンジに抱きつくアリアを見て納得した。

ああ、アリア雷怖いもんな。

スカートの裾をぎゅぅーと掴んで恐怖に震えるアリアは、それでも貴族のプライドは捨てていない。

頼ってるんじゃないって感じに涙目を下向きに逸らしているのだ。

キンジがごまかすように横を向いた。

ああ、確かに今のアリアはやばいよな……ぶるぶる震える小動物のようなアリアは殺人的にかわいいのだ。


「ほ、ほら、怖くないって。大丈夫だ。俺が、この部屋にいてやるから」

キンジが言いながらアリアを離すがアリアは相変わらず怯えきったままでびくびくしてる。

仕方ない助け船を出すか


「キンジさん。これを」

言いながら携帯のレオポンをキンジに見せる。

キンジは納得したらしく頷いた。


「アリアさん、雷なんか怖くない取って置きの助っ人を呼ぶわ」

柔らかに微笑んでアリアを安心させるように言う。


「す、助っ人?」


「そうだ。いまこの館にいる」


「こ、ここにはあたし達しかいないじゃないっ。先生は地下室に籠ってるし」

まあ、ジルちゃんもいたんだがこの際、無視しよう。

オレ達はビリヤード台を挟んで反対側に回ると屈んで台に身を隠すと携帯のレオポンをビリヤード台に伸ばして上に押し出す。


「おっすアリアおいらレオポン君」


「私はレオポンちゃん」

互いにレオポンの前足を挨拶するように掲げて見せる。


「地上最強の猛獣だぞ。おぉーアリア、お前、何か怯えた顔してんなぁ」


「どうかしたのアリアちゃん?」

オレのレオポンは女性みたいに心配そうに前足をを合わせて見せる。

こっそりアリアを見るとアリアはレオポン達にこくこくと頷いていた。


「何か怖いのか話そうアリアちゃん。私達姉弟が話を聞くわ」

言ってみてから姉弟なの!と自分で突っ込む。


「………か、カミナリ」

アリアよ……やっていてなんだがいいのか……


「はっ、心配すんな!そんなモン、おいら達レオポンスキル双頭の吠え声術で追っ払ってやるぜうおー!」


「がおー!レオポンちゃんだぁ!」

オレたちは前足を持ち上げ熊が威嚇する時と同じようなポーズをとらせる。


「お、追い払ってくれてるの?」


「ああ、おいら達の吠え声は邪悪なカミナリ雲を遠ざけるんだ!うぉー」


「ガオーアリアちゃんから離れろカミナリ雲ぉ!」

やばい、やってて少しだけ楽しくなってきた……

まあ、これはでたらめでもなんでもない。

いや、レオポンにそんな力はないが雷は近づいたら必ず遠ざかっていくのだ。

現に再び雷が鳴るが距離はかなり遠い


「……た、確かに遠ざかってるわ!すごい!」

アリアはレオポン姉弟の力を信じたらしくビリヤード台を回ってきた。

オレとキンジもレオポンを走るように動かしてアリアを迎え、レオポンはアリアにむしりとられ、ぎゅうううう。


「ありがとう!ありがとうレオポン姉弟」

つり気味の目を細めて思いっきりレオポン君を両手で抱いて頬擦りした。

ついでにオレ達をふんわりスカートのオシリで押し退けて、レオポン3人の世界に没収する。

ま、雷が怖いのをレオポンに依存して恐怖をまぎらわそうとしてんだな。

隣でキンジが不満そうにしてるのでフフフと笑いながら


「キンジさん。私たちはレオポン姉弟以下の存在なのね」


「そうだな……」

ま、かわいいアリアが見れたからいいとしときますか……

さてと、次は理子との定時連絡だがまだ、時間あるな。

そう思いながら窓の外を見る。

当然、ジルちゃんの姿はなく闇が世界を覆っている。


「…………」

嫌な夜だなとオレは思いながら窓から離れた。








時刻は深夜2時。理子との定時連絡の時間がきた。

まあ、使う通信機器は携帯である。

今回はドロボーが任務なので通信科(コネクト)の支援は無理だからな。
ちなみにオレは情報科(インフォルマ)なんだが、最近転科したばかりなので通信機器を持っていないのだ!……まぁエラそうにはできないよな……
複数の人数が話せるサービスを利用して通話を開始する。


「みなさん聞こえますか?」


「聞こえてる……それよりそのままでいくのか?」

と、キンジ


「聞こえてるわ。理子、あたしの声はどう?」


「うっうー!トリプルおっけー!それじゃアリアから中間報告ヨロ!」

テンション高いな理子……夜型なんだな。


「理子。あんたの十字架はやっぱり地下の金庫にあるみたいよ。一度、小夜鳴先生が金庫に出入りするのを見たけど……青くてピアスみたいに小さな十字架よね?棚の上にあったわ」


「そう、それだよアリア」


「だが、地下にはいつも小夜鳴がいるから侵入しにくいぞ。どうする」


「だからこそのチームなんだよ、アリアとキーくんは。超・古典的な方法だけど『誘きだし』を使おう。先生と仲良くなれた二人が先生を地下から連れ出して、その隙に一人が十字架をゲットするの。具体的なステップは……」

と理子の説明が終わる。


「分かったミーちゃん?」

なぜ、オレが名指しされるかわからんが……


「ええ」

毛布を頭に被り小声で返す。

理子の為にも泥棒作戦をなんとしても成功させないとな……

そう思いながらオレは目を閉じた。

その夜オレは、夢を見た。

あのルーマニアの城の夢だ。

牢獄の鉄格子越しにオレは少女に話しかけてブラドを倒すとオレは宣言した。

少女は虚ろな目でオレを見て無理だよと言った。


「無理じゃないよ!理子ちゃんは必ずオレが助ける、姉さんと合流できたらどんな相手にだって勝てるよ」

ああ、これはオレの記憶だ……どうしようもないぐらい世間知らずだったオレの……正義の味方は絶対に負けないと信じていたあの頃の……


「本当?」

少女……幼いぼろ布を纏う理子が言った。


「本当に助けてくれるの?私この城から逃げられるの?ブラドから解放してくれるの?」


「ああ、だってオレはヒーローだからな!」


「ヒーロー?」

理子が何を言ってるか分からないというように首をかしげる。

「ヒーロー知らない?ヒーローはね。女の子を決して見捨てないんだ。だから、オレは世界一のヒーローになるんだ」


「じゃあ……は……の……ね」

理子が何かを言っていた。










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