緋弾のアリア最高の相棒 ―THE BEST PARTNER―

□第6弾
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その日の夜も電話会議を行なった。

作戦結構は3日後、ここで働く最終日だ。


「理子、シュウ、キンジマズいわ。掃除の時調べたんだけど……地下金庫のセキュリティが事前調査の時より強化されてるの、気持ち悪いぐらいに厳重。物理的な鍵に加えて、磁気カードキー、指紋キー、声紋キー、網膜キー。室内も事前調査では赤外線だけってことになってたけど、今は減圧床まであるのよ」


「な、なんだそりゃ」

キンジが言うのも無理はない。

こんな馬鹿みたいな警戒、米軍だってやらないぞ。

もう、オレだけなら手も足もでない。

小夜鳴先生をぶっとばして強奪するぐらいしか思い付かん。

もう、ブラド探してぶっ飛ばして返してもらうのがいいんじゃないか?


「よし、そんじゃプランC21で行くかぁ。キーくん、ミーちゃん、アリア何にも心配いらないよ。どんな厳重に隠そうと理子のものは理子のもの!絶対お持ち帰り!はう〜!」

ま、オレ一人には無理でも理子のサポートがあればいけるかな……

にしても夜中にハイテンションだな学生なのに


「んで、いま小夜鳴先生と仲良しランキング上位は誰かな?かなかな?」


「私とアリアさんです。」


「確かに、新種のバラにアリアとか命名されて喜んでたもんな」

トゲのある言い方だなキンジ


「よ、喜んでないわよ!何言ってんの馬鹿なの?」


「おいアリア、気をつけろよ?小夜鳴には、女関係で悪いウワサがある」


「あら。それは大変、私も気をつけなくてわ」

まあ、万が一そんなことになったらグッ……チャグチャにするけどな


「別に……悪い人には見えないけど」

意地を張ってるのかアリアが言う。


「いや。俺には怪しく見えるぞ。少なくても、あまり好きじゃない」


「おお?おおおー?痴話ゲンカってやつですか?」


「あらあらキンジさん、もしかして嫉妬でもしてるんですか?男の嫉妬は需要ありませんよ」

嬉しそうに理子が割りこみオレも理子にのっかると、違う!とキンジとアリアの声がはもる。


「じゃあ、とりあえず先生を地下金庫から遠ざける役目はアリアとミーちゃんに決まりね!どう?できそう?」


「彼は研究熱心だわ。誘き出しても、すぐ研究室のある地下には戻りたがると思う」


「そこは私もサポートします。古賀先輩にいろいろ教えて頂きましたから何とかなりますよ」


「キーくん、ミーちゃん、アリアじゃあ時間でいえば何分くらい先生を地下から遠ざけられそう?」


「10〜15分ぐらいですかね」


「うーん」

理子は少し考え込んでいるようだった。

さすがに厳しいか……


「なんとか15分頑張れないかな?例えばアリアが」


「たとえばあたしが?」


「ムネ……はないからオシリ触らせたりして。くふっ」


「ば、ばか!風穴!あんたじゃないんだから」

やれやれだな


「じゃあミーちゃんが熱烈に迫ってみる?」


「わ、私ですか!?……が、頑張ってみます!」


「冗談だよミーちゃん!まぁその辺は理子が方法考えとくよ!じゃ、また明日の夜中2時にね!りこりん、おちまーす」

プツンと理子との電話が切れてしまう。


「私も落ちます。おやすみなさい」

まだ、回線が繋がってるはずのキンジとアリアの回線を切ってから携帯を枕元に投げて横になる。

さて、いよいよ大詰めだなこの作戦も……ブラドは帰ってくる気配を見せていない。

やはり、今回で理子を助けるのは無理か……

そんなことを考えながら目を閉じていると眠気が襲ってくる。

ああ、寝るか……














そして、ついに紅鳴館で働く、最終日がきた。

作戦決行はオレ達が館を去る1時間前――午後、5時。

アリアと相談した結果、最終日だから庭で改良種のバラ、アリアの話を聞きたいという理由で小夜鳴先生をおびきだすこととなった。

その間にキンジは理子の宝物を取り戻す。

そうなると陽動は重要だ。

オレは古賀先輩に頼んで花の知識等を電話で教えてもらい挑む。


「お待たせしました神崎さん桂木さん」

研究室から出てきた小夜鳴先生せ。

さて、ラストミッションだ。


「いいえ、お忙しいところを無理にすみません」

アリアが言うがぼろがでないのを祈るだけだな


「構いませんよ。あまり、時間はとれませんがそれでよろしければ」


「フフフ。私、今日を楽しみにしてました小夜鳴さん」

あえて、先生とは言わずさん付で呼ぶ。

古賀先輩いわく仲良くなるステップだ。『先生』から『さん』付けで呼ぶこと、だそうだ。


「ハハハ、じゃあ行きましょうか神崎さん、桂木さん」

スルーされたか……あるいは鈍感なのか……

とりあえず作戦開始だな。


「ミーちゃん、アリア。キーくんが動いた」

理子の声が小型のイヤホンから聞こえてくる。

キンジは地上階から金庫の天井までモグラのように穴を伝って到達し……そしてその天井からコウモリのように逆さ吊りになったキンジがお宝を頂戴するのだ。

今、キンジは理子の支持を受けて作業を開始してるのだろう。


「……のように私は改良を施したのがこのバラ、アリアなんです」


「素晴らしいですね。こんなに美しいバラを作ってしまわれるなんて小夜鳴さんはすごい方なんですね」

とにかく、誉められれば気分は悪くならない。

小夜鳴先生が調子に乗れば話を長引かせることも不可能ではないだろう。

後3分……余裕で引き延ばせる。

と思った時

嘘だろおい

雨粒が頬に当たる。


「おや?雨のようですね」

小夜鳴が空を見上げながら言った。

ま、まずいぞ。


「雨も降ってきましたしそろそろ戻りましょうか?楽しかったですよ神崎さん、桂木さん」

屋敷に戻り始める小夜鳴先生を見てオレ達は焦った。

小声でメイド服に仕込んだマイクで理子に状況を伝えてから

アリアが瞬き信号で『なんとかしなさいよ』と言ってくる。


「アリア。ミーちゃん、まだ、キーくんは時間がかかる。なんとか会話ひっぱって。もたせて」

理子の指示を受けてからアリアが焦ったのか


「さ、小夜鳴先生」


「なんです?」


「あ、いえ、なんでもないんですけど。えっと」


「……はい?」


「いい天気ですね」


「えっ?……雨、降ってきてますけど……」


「え?あっ。えーっと、あ、雨が好きなんですあたし!あははは」

駄目だ。

アリアには任せられんか……てんぱりすぎだ。

ハニートラップは嫌ならと古賀先輩に教えられた手段を使うしかないか……

オレはポケットから素早くカプセルを飲み込む。

その瞬間、理子との回線が切れた音がしたが……気にはしない……てか、気にしてられない。

全神経を使ってなりきるのだ。


「あっ……」

小夜鳴に聞こえるように言ってから額を押さえて庭に座り込む。


「桂木さん?どうかしたんですか?」

よし、小夜鳴が戻ってきたぞ


「はぁ……はぁ……すみません……小夜鳴さん……アリア……私、黙ってたんですが病気なんです……今朝、飲まないといけない薬を飲み忘れて……」


「どうして黙ってたんですか?」


顔は真っ青になっているだろう。

実際、こいつは貧血を誘発する薬だからな。


「さ、小夜鳴先生に迷惑かけたくなくて……すみません……」


「辛いんでしょう?なんとか館まで戻れませんか?」


「はぁ……はぁ、あ、アリア」


「え? な、何?」

突然、名指しされたのでアリアが聞き返してくる


「く、薬を取ってきてください……私の部屋の机の中に……」


「わ、分かった。戻るまで頑張りなさい」

アリアまで本気にしたのか!急ぐなアリア!ゆっくりしろ!


「で、では私は傘を……」


「ま、待ってください!」

ここで戻られたらアウトだ

必死に小夜鳴の服を掴む


「か、桂木さん」


「て、手を握っていてください……この病気は精神的なものでもあるんです」


「わ、分かりました」

そっと、小夜鳴先生がオレの右手を握ってくる。

今、小夜鳴先生の奴には病弱な少女にしか見えていまい。

古賀先輩いわく、病弱な美少女は男心をくすぐるらしい


「ああ……最後まで迷惑かけてすみません小夜鳴さん」


「とんでもありません。すぐに、救急車を……」

携帯を取り出そうとした小夜鳴の手を俺はそっと上から押さえ、上目遣いに見上げる。


「救急車は嫌いなんです……薬があれば楽になりますから……」


「し、しかし……分かりました」

ザアアアと雨が降るなか時間は稼いだぞ。

案の定、アリアが高速で戻ってきて薬を差し出してきたので水がないと飲めませんとアリアを走らせ、更に時間を稼ぎ薬を飲み終わると小夜鳴に肩を借りて、ソファーまで行き。

結果的に1時間以上という時間をオレは稼ぐことに成功したのだ。

こうして、キンジと合流し、小夜鳴は何度かすみませんと謝りながら研究室に戻ってしまった。

やれやれと、私服に着替えキンジに肩を借りながら紅鳴館を後にした。

ちなみに、キンジとアリアは武偵高の制服だがオレは外で着替えた。

普通の私服で白いワンピースだ。

べ、別にこのために買った訳でわないからな。

オレはタクシーの中で今度はどんな女装、もとい変装をしようかワクワクしながら横浜のランドマークタワーに向かっていたことはオレの心の中だけに閉まっておくことにした。

あれ?今回の任務で新たな扉を開いてしまった気がするが……まあ…うん……なんだ、その大丈夫だ、問題ない……はず。










Go For The Next!!!

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