緋弾のアリア最高の相棒 ―THE BEST PARTNER―

□第7弾
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ランドマークタワーの屋上にいるということを理子に聞いて外に出ると湿った海風が強く吹いていた。

うわ、空の雲、雷雲じゃないよな……

周りフェンスないから落ちたら死ぬよなーうん、絶対死ぬ。


「キーくぅーん!ミーちゃぁん!」


「あら、理子ちゃんその服可愛いわね」


「シー君またミーちゃんやるんだ」


「ええ、何か問題でも?」

と、オレはわざとらしく聞く。


「問題だらけだよ!何でシー君になってないの!何で白いワンピースなの!」


「可愛いからですが?」


「ううー、シー君のバカ〜」

それじゃあそろそろ戻るかな、これ以上理子を困らすと大変だ、それにアリア達もなんだかガチで引き始めてるし……

「分かったよ、もう翠は終わりだ」

オレは男声に戻して答えた、それから白いワンピースを脱ぎ捨てワンピースの下に着ていた武偵高の制服に戻った。

実は外で着替えたときに下に武偵高の制服を着ていたのだ!


「おお!お帰りーやっぱりシー君が一番いい!」

どうやら理子は機嫌を取り戻してくれたようだ。


とててててっ!

蜂蜜色の髪を風になびかせながら例の改造制服を着た理子が駆け寄ってくる。

そして、ぽふっ!キンジに抱きついた。

死ねキンジ……


「やっぱりキーくん達チームは最高だよ!理子にできないことを平然とやってのける!そこにしびれるあこがれるゥ!」

理子は大きなふたえの目をキラキラさせて胸元からこっちを見上げてくる。

頭のてっぺんにアホほどでかい赤リボンを増設してるな。まるで童話に出てくる、絵本の中の少女みたいな髪型だ。


「キンジ、シュウ。さっさと十字架あげちゃって。なんかソイツが上機嫌だとムカつくわ」


「おーおーアリアんや。チームメイトをとられてジュラシーですね?わかります」

ハハハ、誰だよアリアんって

と心でツッコむオレの横でキンジの胸で、理子はアリアを横目で見ながら頬ずりなんかしている。

ちがうわよぎぃー!とアリアが何か壊れたバイオリンみたいな声を上げているのを見てオレは笑った


「ははっ!アリア落ちつけって。キンジ早く渡してやれよ」


「分かってるって。ほら、やるから離れろ」

キンジは胸ポケットから――青い十字架を出した。

十字架を見た理子は声にならない喜びの声をあげたかと思うと首につけていた細いチェーンに、手品のような素早さで繋いでしまう。


「乙!乙!らん・らん・る―!」

理子は喜びのあまり両手で敬礼(?)ポーズをするは、両手をシャカシャカ振り回すわ、最高にハイってヤツだ。

おい、理子スカートの中見えるって……キンジのやつ目をそらしてるし……

にしても……

本当にこれでいいのか?

簡単すぎる気がするが?……まぁ、装備はきちんとしてきてはいるが……あ、やべ……ウィンチスター忘れた……


「理子。喜ぶのはそのくらいにして、約束はちゃんと守るのよ」

怒りモードのアリアさんが腕組みしてこめかみをピクピクさせながら釘を刺す。

あ、相当怒っているなこれは。


「アリアはほんっと、理子のこと分かってなぁーい。ねえ、キーくぅーん」

理子がキンジを手招きする。

キンジが近づくと理子は蜂蜜色の髪を留めている大きな赤りぼんを向けている。


「お礼はちゃんとあげちゃう。はい、プレゼントのリボンを解いてください」

ん?なんだろう?

キンジが理子のリボンをといた瞬間、理子はキンジにそっとキスをした。

おお……やるな、理子

一瞬、意味がわからなかったがキンジの感覚が変わったのを見て納得した。

ヒステリアモードに


「ぷはぁ」

唇を離した理子がぺろっとおまけにキンジの鼻をなめる。


「り……りりりりり理子おッ!?」

キンジも何が起きたか理解したらしくキンジらしからぬ動揺っぷりだ。

やっぱキンジは面白いやつだ

オレはそう思いながら笑っていた。

だがオレの隣のアリアさんは……


「な、なな、ななな何やってんのよいきなり!」

――と怒鳴るアリアに、理子はさっきまでのオフザケを何一つ返さず――

たたん、たたっ。

屋上のほとんど縁とも言える場所を回り込むように、華麗な側転を切った。

とんっ。

そしてオレたちの退路を塞ぐように、階下へ続く扉を背に立つ。

湿った海風に、その蜂蜜色の髪をざわつかせる理子は――


「ごめんねぇーキーくぅーん、シー君。理子、悪い子なのぉーー。この十字架さえもどってくれば、理子的には、もう欲しいカードは揃っちゃったんだぁ」

にい、とあのハイジャックの時オレと戦った時の目で笑った。


「もう一度言おう『悪い子だ、理子』。約束は全部ウソだった、って事だね。だけど……俺は理子を許すよ女性のウソは罪にならないものだからね」

相変わらずキンジがヒステリアモードの時は背筋かかゆくなるセリフを平然と言うよな……

まあ、それはそれとして


「ジルちゃんの情報も嘘……か。ま、別にいいけどな」

理子が知ってる範囲の情報はジャンヌに貰ったからな


「とはいえ――俺のご主人様は理子を許してくれないんじゃないのかな?」

怒りモードのアリアさんはキスのショックで隣で固まってる。


「アリア」

キンジがパチンっと指をならすとアリアは石化モードから元に戻り、真っ赤なままで犬歯をむいた。


「ま、まあ……こうなるかもって、ちょっとそんなカンはしてたけどね!念のため防弾制服を着ておいて正解だったわ。キンジ、シュウ、闘るわよ。合わせなさい」

はいよ

刀に手を伸ばしながらオレは思う。


「くふふっ。そう。それでいいんだよアリア。理子のシナリオにムダはないの。アリア達を使って十字架を取り戻して3人を倒す。キーくんも頑張ってね?せっかく理子が、初めてのキスを使ってまでお膳立てしてあげたんだから」


「先に抜いてあげる、オルメス――ここはシマの外、その方がやりやすいでしょ?」

理子は右、左。

スカートから名銃・ワルサーP99を2丁取り出した。


「へぇ、気が利くじゃない。これで正当防衛になるわ」

アリアもガバメント2丁を抜く


「なぁ、理子」

その間に割り込むようにオレは立った。


「何?シー君?最後だから聞いてあげるよ」

もし、プラドさえ出てくれば何とかなるかもしれないが……さすがにそんな事はある訳ないか…………

仕方ない、こうなったら


「なぁ理子、ジャンヌから聞いたんだお前がアリアを狙うのはブラドに成長を証明させるためだろ?」


「ジャンヌから聞いたんだ?それで?」


「なら、一つ提案がある」

オレはにやりと笑いアリアとキンジ、理子を見回しながら三人の間に入る


「みんなでブラドを逮捕しようぜ」

理子が目を見開いた。

だが、すぐに目を落とすと


「無理だよシー君……ブラドには勝てない……」


「やってみなくちゃわからないだろ?」

あの頃よりオレは強くなった。

一人で無理でもみんなで力を合わせれば……


「なぁ理子、アリア達と戦わなくてもいいだろ?2人が嫌がってもオレがブラドを……」


「無理なんだよ……あいつには勝てない……」


「そんな事無い!あいつを倒すことはできるはずだよ!オレ達全員で力を合わせれば……」


「無理だよ!プラドには絶対に勝てない。だから理子はアリアたちを倒して曾お爺さまを越えなきゃいけないんだ!」

ああそうか……


「なら……」

オレはすっと理子に背を向ける。


「し、シュウあんた!」

アリアが戸惑った声でオレを見る。


「悪いなアリア、キンジ、今回だけオレは、理子につく」


「ど、どういうつもりシー君!」

理子が戸惑った声でオレに言ってくる。


「言ったろ?」

オレは静かに思い出した言葉を紡ぐ


「オレはプラドを倒す。それは変わらない、だけどね……オレは理子も救いたいんだ!」


「シー君……」


「シュウ、あんた……」


「シュウ……」


「はいはい。辛気くさい話はこれで終わり。でも、これが終わったらブラド倒すぞ理子。キンジ、アリア気絶したら負けな」

ルールを作ってキンジと対峙する。

そういや、キンジと戦うの久しぶりだな。

ま、まぁ……気絶させるくらいなら違反じゃないよな?


「2対2だな」

キンジがべレッタを抜いたのでオレもレイジングブルを抜きながら


「そうだな。キンジ、悪いけどオレの勝ちだ」


「どうかな?」


「ふざけるな!」

振り返らずオレはその言葉を背中に受ける。

そして、静かに振り替えると

理子の左右のツーテールが大振りのナイフを抜いていた。


「シュウは私の敵だ!お母様がくれたこの十字架は理子に力をくれる!」


「なら、後ろから撃ちなよ。抵抗しないよ」

そういってオレは理子にニッコリと笑ってから再びアリア達と対峙する。


「シュウ!アリア!キンジ!あたしの踏み台になって!」

あぁ、撃たれるな。これ……

バチッッッッッ!!

小さな雷鳴のような音が上がった。

音にオレが振り替える。

その愛らしい顔をいきなりこわばらせた理子は半分だけど、振り返った。


「……なん……で、お前が……」

と呟きその場に膝をついた。


「理子!」

理子が倒れてその理子を倒した相手が見えてくる。

な、なんでお前が!


「小夜鳴先生――!?」










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