緋弾のアリア最高の相棒 ―THE BEST PARTNER―

□第9弾
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「へ……変、身……!?」

アリアが絶句した声をあげる。
今や小夜鳴はオレ達の前で洒落たスーツが紙みたいに破けその下から出てきた肌は赤褐色に変色し熊のように筋肉が盛り上がっていく。
文字通り変身だ。

呆然とするアリアとキンジを後ろにオレは理子に向かって歩き出した。
奴の銃が変身のために理子からそれた。

「ぐるおん!」

オレが動いたため狼達が動き出す。

だが狼達は歩き出したオレに近付いてこようとはしない、多分感じ取ったのだろう圧倒的な殺気を、狼達は震えながら地面に伏せた。


「よし!いい子だ!」

それからオレは走りながら右手のワイヤーを発射するとポールに食い込ませ、宙を飛ぶ。
いかに、獣の足でも飛べない場所まできて、壁に足をつけてから弾丸のように理子と変身中のブラドに迫る。

みるみるブラドが迫る。
こいつは、化物だ、人間じゃない!
そう言い聞かせてオレは刀で右腕をぶったきる。

居合いのモーションから膨れ上がった筋肉をまっぷたつに切り裂く。
理子をお姫様だっこし貯水タンクが置かれている高台に飛び下がり着地し、ブラドをにらむ。


「悪い助けるのが遅れた」


「…………」

理子は複雑そうな顔でオレを見ていたが何も言わないし抵抗もしない。
ただ、目線をブラドに向ける。


「痛いじゃねえか。変身中に攻撃はタブーじゃねえのかぁ?」

理子が萎縮したのが分かった。
久しぶりに聞くなこの声


「初めましてだな」

すでに声帯まで変わっている。


「俺たちゃ、頭ん中でやり取りするんでよ……話は小夜鳴から聞いてる。分かるか?ブラドだよ、今の俺は――」

こちらを名乗る凶暴そうな目は黄金の輝きを放っている。


「久しぶりだなブラド!」

理子をお姫様だっこしたままの目で上から見下すようにブラドをにらむ。


「あん?だれだてめえ?いや、さっきの攻撃……ゲゥゥウアババババババババ!そうか、お前は桂木柊斗だな?」

ちっ!こいつ、オレの記憶操作を解きやがった……


「そうだよブラド!」


「桂木柊斗だ、久しぶりだな」


「ふん、よくも俺の記憶を消してくれたな、それにどういう事だ?5年前に闘った時と全く変わらねぇじゃねぇか」

ブラドは目を少し細める。


「まあいい、あの時の撒き餌が何しにきたんだ?」


「お前を逮捕……いや、殺しにに来たんだよ」


「ど、どういうことシュウ。あんた、あいつと知り合いなの?それに5年前って?」

アリア眼下にわけが分からないと言う風に言ってくる。


「ごめんなアリア。オレは5年前にブラドと戦って負けたことがある」

驚いてはいたが今はそれどころじゃないからかアリアはそれ以上聞いては来なかった。


「その話は後で聞くとして今は、あいつよ、どういうことなのシュウ?」

ブラドの変身か……


「多分……」

オレが戦った時はブラドは最初からあの姿だった。
小夜鳴がまだ、刺激に慣れきってない時なんだろう


「擬態、みたいなもんだったんだろ?」

キンジが説明をいれてくる。
オレに話させるとヒステリアモードの話になるかもしれないからな。


「ギタイ?」


「アリアの好きな動物番組でもたまに出てくるだろう。例えばトラカミキリはハチを装って自然界で有利に生きようとするが、その際は単に姿を真似るだけじゃなく動作までハチそっくりにせわしなく動く」


「う、うん。それは見たことある」


「ブラド・小夜鳴の変身はそれの吸血鬼・人間バージョンなんだ。あいつは元々、あの姿をした生き物だったんだよ。それが進化の家庭で人間に擬態して生きるようになった。その擬態は高度で、姿だけじゃなく……小夜鳴という人格まで作り出した。厳密には違うようだが二重人格みたいな状態で吸血鬼の姿と人格を内側に隠してたんだ」

ヒステリアモードになってるとアリアは気づいたらしくちょっと慌てたようにブラドを見て


「人間という役になりきってたのね。まるで人間社会への潜入捜査(スリップ)だわ」


「まあ、そんなとことだ」

詳しく説明する気はないらしい。
ブラドはその目をオレ達…正確にはオレの腕にいる理子を見る。


「おぅ4世久しぶりだな。イ・ウー以来か?」

理子はぎゅっとオレの服を掴んでくる。
震えている。


「4世そういえば、お前は知らなかったんだよな俺が人間の姿になれることを」


「お前は最初から理子を騙してたんだな?アリアを倒したら理子を解放するって約束を」


「お前は犬とした約束を守るのか?ゲゥゥウアババババババハハハ!」

理子が悔し涙を流す。

理子……


「檻に戻れ繁殖用牝犬(ブルード・ビッチ)。少しは放し飼いにしてみるのも面白ぇかと思ったんだがな。結局お前は自分の無能を証明しただけだった。ホームズには負ける。盗みの手際も悪い。弱ぇ上で馬鹿で救いようがねぇ。パリで闘ったアルセーヌの曾孫とは思えねえほどだ。だが、お前が優良種であることは違いはない。交配しだいでは品種改良されたいい5世が作れてそいうからいい血がとれるだろうよ。桂木。お前の遺伝子でも掛け合わせてみるかぁ?」


「黙ってろこのクズ虫が……」


「ああ?何様だ桂木、昔戦った時、お前は俺に勝てなかったろ?」


「チッ……」

確かにそうだ……
こいつは今まで会ってきた奴で最悪だった。


「いいか4世お前は一生俺から逃れられねぇんだ。イ・ウーだろうがどこだろうと関係ねぇ。世界のどこに逃げても、お前の居場所は檻の中だけなんだよ。桂木達を殺したらルーマニアに帰ろうぜ4世ぇゲハッ、ゲバババババッ!」


「り、理子」


「理子」


「理子……」

オレ達の声に理子は目を閉じてぼろぼろと泣いていた。


「あ……アリア……キンジ……シュウ……」

そして、理子は……














「……た、す、け、て……」












「「言うのが遅い!」」

アリア達がブラドに向かう。

ああ
オレは心の中で頷くと理子をブラドから見えない位置にそっと寝かした。


「シー君……今すぐアリア達を退かせてブラドは強い。強すぎるんだよ!あたしはイ・ウーで決闘したけど手も足もでなかった。あいつは初代リュパンですら勝てなかった。何をやってもかなわない……過去それは証明されてることなんだよ」


「大丈夫だ理子。オレ達は負けない。昔とは違う」


「ムリ!ムリなんだよ!絶対にムリなんだよ!今すぐここから脱出するしか、生き延びる道は無い!」


「勝てない相手じゃない。それにオレはあいつを倒せる連中と知り合いだ。連中はここにはいないが倒せる奴がいるならそれは無敵じゃない」


「誰が倒せるって……」


「公安0の稲富さんと……雪姉……それに師匠なら」

思い出すようにオレは言った。
理子は合ってないが確かに姉さんはブラドを圧倒した、て言うか遊んでいたな……



「理子、前の時は助け出せなくてごめんね」

優しい声でオレは彼女の右手にそって握った。


「でも大丈夫……理子、キミはオレが……いや、オレ達がキミを守るよ」


ちゃりと理子の十字架を渡す。
ブラドからかすめ取っていた。


「今のオレは理子を助けるヒーローだからな。任せとけ、それに助けて、って言っただろ?」

そういうと理子は顔を赤らめた、
演技じゃない女の子らしい……
おお、やっぱり可愛いな〜

虎鉄を鞘から抜いて理子に背を向ける。


「シ、シュウ……」


「ん?なんだい理子?」

オレは優しく笑った。


「な、何でもない」

ブラドが視界に入る前にオレは思いだしたように止まり


「あっ!ねぇ、理子」


「?」


「これが終わったらまた、あのメイドカフェ行こうね!」


「え……う、うん!」

理子はにっこりとほほ笑んだ。

その笑顔があれば十分だ!







「キンジ、アリア!」

ブラドと交戦中だった二人に合流する。


「シュウ、理子は?」


「大丈夫。それよりブラドは?」


「銃弾が効かない。あの目玉模様を狙ってみたがジャンヌの言う通り4つめ目を見つけないと……」

キンジの言葉にオレは頷く。


「キンジ、アリア少し、オレに任せてくれ。ブラドを沈める方法がある」


「一対一でやるのね?あの化物と」


「ああ」


「で、でも……」



「そんな顔するなよ、大丈夫昔なかった力が今はあるからな」


「いいわ。やりなさいシュウ」


「ありがとう」


「ゲゥゥウアババババババハハ話はすんだか?」

ブラドが現れる。


「ブラド……お前とオレの一騎討ちだ……」


「ゲゥゥウアババババババハハ。下らないジョ
ークだな劣等種」


「ふんっ」

オレは一層冷淡な目になってブラドを睨んだ。

行くぞブラド……










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