短編とか

□凶王愛し、沼の蝶。【三吉 R-18】
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「刑部、疲れた」
「さよか」

時は戦国。西軍の将、石田三成とその盟友、大谷吉継は戦から帰り着いた所。

「多少は休みやれ、身体に障る故」
「私自身の身体などどうでもいい」
「やれ、三成。身体を壊せば戦えなくなるわ」
「……」
「…其れに、徳川とやらへの復讐もしばらくは出来なくなるなァ、ヒヒッ」
呟いた瞬間、三成がこちらを睨むのが解った。だが、こうでもしないと三成はわれの言う事を訊かん。
…本当は、「三成の身体を心配している」と言いたいのだが。
「おい、その名を出すな刑部」
「何故に」
「貴様の口から聴きたくないからだ」
ほう。ならば、少しばかりいじめてやるか。
「三成よ」
「何だ、刑部」
すぅ、と思い切り息を吸い…
「……っ家康家康家康家康家康家康家康家康家康家や「あ"あ"ぁあ"あ"ああぁぁあッ!!」」
三成が絶叫(発狂?)した。
「ややややめろ刑部ッ!絶対言うなその名だけはああぁあ!!見ろッ、怖気と鳥肌と嫌悪感が止まらんではないかアァアアアァァッッ!!!」
などとのた打ちまわりながら叫んでいやる。
「身体を大切にすると誓うなら言わぬが…」
「断るッ!」
「ふむ…家康「ひッ!!」」
嗚呼、どうしてこの男はこんなにも面白い。
「…くっ…!! 見ていろ、刑部…!!」
三成がわれの座る輿に手を掛けた。
そのままぐいぐいと何処か引っ張られる。「っ!? どうした三成よッ!!」
「いいから動くなッ、来い!」
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