短編とか

□一緒が良いの。【家三 ほのぼの甘】
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「み・つ・な・り〜〜〜っ!!!」
「!!?」

聞き慣れた声と共に、睡魔が一気に醒めた。

その声の主は、機動戦…げふっ戦国最強の背中から飛び降り、軽やかに天守閣に着地を決める。

「…い、家康……!?」
「久しいな!会えて嬉しいよ!!」
布団から上半身だけを起こして固まったままの私に、この上無く爽やかな笑顔を向ける男………徳川家康。

「おい、待て、貴様!」
「ああ、土足じゃあ駄目だよなぁ」
家康を咎めると、彼は履物を脱ごうとしだした。
「確かにそうだがそう云う事が言いたいんじゃない」
「?」

「これは不・法・侵・入・だ!!」
「いいじゃないか別に「良くないぞ」」
なんて華麗な聞き流し方。
都合のいい耳をしているな貴様は。

「誰が天守閣から城に踏みいっても良いと許可を下したのだ」
「こんなとこに布団敷いて何してたんだ?「話聞け家康」」
…駄目だ、勝てない。
「貴様に教える義理など無い」
「〜〜〜むっ!」
冷たく言い放ってやると、急に彼は頬を童のように膨らませた。
「三成のけちっ!!」
「知るか」
顔が幼いからか余計に子供っぽく見える。

「三成が教えてくれるまでワシ帰らないもんッ!!!」
そう言って家康は私の傍の畳にどっかりと座り込んで動かなくなった。
「動かざること山の如しッ!!」
(…面倒くせええぇぇえ!!!!)

教えてくれるまでこいつは帰らない。
つまり、教えさえすれば即座に帰る、と言う事だ。
…無論、とっとと帰ってもらおう。
「あーもう、…昼寝だ、昼寝!!ほら、これで教えたからさっさと帰……」



この時私は、激しく後悔した。
あいつの琥珀色の瞳が、太陽のように輝いたのを見たからだ。


「ワシも一緒に寝るッ!!」
(なぁぜじゃあああぁぁあぁああ!!)
私はただ、官兵衛の様な叫びを心の中であげる事しか出来なかった。
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