短編とか
□時はときに、孤独さえも蝕む【三家 グロ・R-15】
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「…家康!起きろっ!!」
すぱんっ、と障子を開け放ち叫ぶ。
『……う、んん…』
彼は微かに“唸った”だけで、目を覚ます気配がない。
「もう昼過ぎだ!起・き・ろッ!!」
耳元で叫びながら、服を掴んで揺すぶってやった。
『う〜……っ、ん…ただかつぅ…』
「寝惚けるな!私だ、三成だ!!」
『……んん〜…』
眠そうに目を“擦り”ながら、やっと意識がはっきりしてきたようで。
『ふぁあ…三成は起きるの早いんだなぁ』
“薄目を開けたまま”、家康が応えた。
「“早起きは三文の得”と云うからな!」
ふん、と得意気に鼻を鳴らした。
そのまま彼を肩に担ぎ、隣の自室へ連れていく。
__家康は、関ヶ原で私と戦った後に“寝たきり”になってしまった。
勿論西軍の大勝利に終わり、其れの代わりにこいつはかなりの痛手を負ったのだ。
意識はあるが全身が動かない、口は利けるが歩けない。
其のもどかしさといったらもう……
そんな事を云いながら、家康は笑っていた。
その壊れてしまいそうな儚い笑顔に、“私の復讐は果たされた”、そう悟った。
東軍敗戦の五日後、
家康と、契りを交わした。
動かない身体を犯して、屈辱を、恥辱を与えるつもりだったのに。
“嫌がりもせず”、家康はいとも容易く私を受け入れた。
『お前と共に歩く事も、手をさしのべる事も、…もう出来なくなってしまったけれど、』
『隣に居たいんだ』
ずっと、好きだったと。
愛していた、と。
言葉の端々から痛い程伝わってくる思いが、私の心にまた光を灯した。
永い間愛を求めていた私の心に、いやに大きく、大きく響いたのだった。
そして。
非常に無様で、弱く、脆くなってしまったこいつを、私は……
______生涯、愛すことにした。