黒子のバスケ-短編-

□テツヤっちとポンタさん
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「あっ!ぽんたしゃんっ」
「?」

最近テツヤっちはこの“ぽんたしゃん”を良く言っている。
俺には何の事かサッパリなんスけどね、どうやらお気に入りの言葉のようっスね。


【テツヤっちとぽんたしゃん-前編-】


「テツヤっち、水分補給しよっか。今日は暑いから熱中症になるっスよ」

8月上旬の夏休み…朝早いとは言え既に暑い。
シリコンボトルごと凍らせたアクエリと、同じく凍らせたおしぼりを取り出し黄瀬は可愛い可愛い天使な弟・テツヤに与えた。


「はふ…りょーたくんつめたくてきもちいいでしゅ」
「それは良かったっスねテツヤっち。もうすぐ学校っスよ、そしたら朝ご飯にしようね」

ほっぺや額、首回りを冷やし、帽子を整えて完了。

この黄瀬と言う男。歳は16、名を涼太、モデルをやっており海常高校バスケ部ではエースと呼ばれている。

テツヤっちと呼ばれたちまいのは、この男の弟でテツヤ3歳。
それはもう兄は弟を可愛がっている。
親が心配するレベルで可愛がっている。

今日は土曜日で練習試合が組まれており、黄瀬達は相手校の正門前に現地集合なのだ。

黄瀬の両親が親戚の葬儀に参列する為、テツヤを家に一人で置くわけに行かず兄が連れてきたのである。

「ごめんねテツヤっち、朝早くて。お腹空いたよね?学校着いたらすぐ朝ごはんにするっスよ!」
「ぼくだいじょーぶでしゅよ!おそとでりょーたくんとごはん、たのしみでしゅね」
「そうっスね。あとこの辺り車さんが沢山来るっスから、暑いけど学校まで抱っこで我慢してねっ!」
「はいっ。りょーたくん、ぼくだいじょうぶでしゅよっ」


(うわっ俺のテツヤっちマジ可愛いっ!マジ天使っスね(///ω///)♪)

何せ標準より長身の兄と、標準より小さい弟である。哀しい事に、その身長差が有りすぎて手が繋げない。

「あ、ぽんたしゃんっ!りょーたくんぽんたしゃんでしゅ」

(ニコニコと見上げてくるテツヤっちは可愛いが…ぽんたしゃんって、一体何だ?)

試合は朝9時からだが、打合せやウォーミングアップ等の為に集合時間は8時00分。現在7時16分、目的地まであと数分だ。
朝食を取るので早めに出たがいつもテツヤがご飯を食べるのが7時30分、調度いいだろう。

すると背後からドスの効いた低〜い聞き覚えのある声が。

「おい黄瀬、お前何やってる?いくら歩道といえデカイ男がしゃがみこんで邪魔だっ」
「あ、笠松先輩!」

振り向いた後輩の足下には、影の薄いえらく小っさい生き物が居た。


-後編へ続く-
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