黒子のバスケ-短編-

□クッキーシュークリーム
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紫原は迷っていた。
メールか?電話か?逢うか?逢わないか?チャイム押すか?帰るか?どうしようかなぁ・・・と、紫原は黒子の家の玄関前でウロウロしながら迷っていた。

その姿はさながら盛りのついた熊のようであったと、後に黒子は語っている。


【クッキーシュークリーム-前編-】


「・・・」

こんなのは俺じゃないしー柄じゃないしー。と、気持ちを切り替え帰ろうとした瞬間「何してるんですか、紫原君」と声を掛けられた。

「・・・黒ちんこそ、何してんのー」
「何してると言われても君こそ何してるんですか…ここ、僕の家ですけど?」
「・・・だよねー」
「ですね」
「「・・・」」

紫原は、らしくなく居たたまれない気持ちになってしまったので帰ろうと踵を返したとき「寄っていきますか?紫原君」と声を掛けられた。

「いいのー?黒ちん」
「どうぞ。頭、ぶつけないよう気を付けて下さいね」


(黒ちんの部屋だー)

黒子の匂いのする、黒子の好きな本が並んだ、黒子らしい部屋。
バスケットボールがあるのはこの際無視した。だって相容れないから。
黒ちんのベッドに我が物顔で寝ている犬も、この際無視した。
だってこの犬、黒ちんにウリ双子だし。

「すみません、お待たせしました」

そうして小さなテーブルの上に置かれたのは、ケーキ。
まぁるい小さなイチゴのケーキには“happybirthday紫原くん”のチョコレートプレートが。

「何で…黒ちん、これ、俺のケーキ?どうして…」

「お誕生日おめでとうございます、紫原君(*^^)∠※」
パーン!とクラッカーをならし黒子は祝いの言葉を述べた。

「あ、あり、ありがとう…黒ちん」

4分の3切り分けられたケーキをはむはむと食しながら、紫原は気になっていた事を聞いた。

「黒ちんはさー俺が来るって知ってたのー?モグモグ」
「さぁ?どうなんでしょうね。クス」

「チェ…黒ちんのケーチー」
「僕はケチじゃありません。ケチならケーキ用意しませんよ。ケチは紫原君のほうです。秋田から出てきたのにお土産もないなんて、ガッカリです」
「えー?黒ちんワガママー。はい、お久しぶりーのまいう棒。きりたんぽ味ー」
「ワガママだなんて失礼です。僕を含め誰も君には敵いませんよ?ありがとうございます(*^^*)」

「でー?なんでなんでー?!」

すうっ…と黒子は紫原に近付くと「なんででしょうね?」鮮やかな微笑を浮かべ紫原にキスをした。

-後編へ続く-
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