-giftbox-

□“燃え尽きた木材“マタねこさまより、キリ番踏んで書いて頂いたお話です。ハイキュー!!月島x日向です!
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『彼にしか眠り姫は起こせません。』


夏休み。
烏野排球部は他の学校と共に合宿を行っていた。

ペナルティーで溢れた1日を終えて自主練、食事を終えた部員たちは風呂の順番が来るまで それぞれ自由に過ごしていた。

そんな中、人一倍練習していた日向は人一倍自由にただ1人隅の壁に体育座りで寝てしまっていた。

寝たところを見ていた二年生の縁下は起こそうかと迷った末に もう少し寝かせておこうと頭を撫でて出て行った訳だが。


もうすぐに二年生も風呂を終えて次は一年生たちが入ることになる。

しかし、どうだろう。
風呂の準備を始めた同級生たちの物音にも動じず 日向は未だに爆睡していた。

呆れた影山がずんずん歩き出すのを山口が引き止めて怒鳴っちゃいけないと説得する。
しかし、小声の山口に対して影山は更に眉間にしわを寄せた。

これはループしてしまうな、と月島が動き出したのを山口が横目で追う。

「寝てるアイツが悪いだろうがッ」
「ちょ、怒鳴らない…っ」

月島が動き出した途端影山の機嫌が先ほどより悪くなった。
キツくなる目つきに怖じ気付きながら山口が必死に引き止める。

そんな険悪な雰囲気の2人を気にせず月島は日向の目の前にしゃがみ込む。

規則正しい呼吸が繰り返され起きる気配はない。

うむ、と首を傾げた月島が仕方ないと気怠げに眼鏡を外す。
折りたたんだ眼鏡を右手に持って空いた左手で壁を突く。

そして 影山が咽せたのを背中で聞き流しながら、山口が裏返った声でツッキー!?と叫ぶのを聞き流しながら。
日向の頬にキスをした。

ちゅっという可愛らしいリップ音に月島の後ろの2人の息が止まるのと 日向が「ぅ、ぬ…」と言いながら顔を上げたのは同時だった。

「おはよう」
「ん、ぁ?月島…?」
「そうだけど」

のんびりと体を伸ばした日向は眼鏡を掛け直す月島を間近で見つめながら ほにゃっと柔らかく笑って言った。

「いま俺キスされたよな」
「うん。そしたら起きたよ」

頬だったけどね。と月島が悪戯っぽく純粋に笑うと日向が淡く染まった頬を腕で顔を隠すようにして呟く。

「口、が良かった」

弱々しい呟きは意外にも影山や山口にも聞こえていたようで2人の顔が、耳が、赤く染まっていく。

言われたのは自分たちじゃないのに、と2人が顔を背ける。

月島はその隙を見て日向の顔を両手で包み、上を向かせて唇を重ねた。

ふわっと重ねられた温もりに日向が涙目で月島を見上げる。

「…めっちゃ目、覚めた…」

ぽふんと寄りかかってきた日向の頭を撫でながら月島は日向の耳元で囁いた。

悶絶する2人に気付かれないように。

「僕は君の王子様だからね、僕のキスでしか起きれないでしょ?」

余裕な笑顔を浮かべた月島が日向を抱き上げて2人にも聞こえるように言った。

「はい、じゃあ行くよお姫様」

ひょいっと日向の荷物を片手に持って山口たちの横を通り過ぎる。

山口が一瞬見た、抱き上げられた日向は顔を隠すように月島に顔を押しつけていた。

それさえも可愛くて可愛くて、山口がまた悶絶して動かなくなったのを見て月島が冷たく命令口調で言った。

「山口、僕の荷物持ってきて」

それはまるで、日向を見るなと言っているようにも感じられた。



ーあとがきー
マルシェ様リクエストの甘々な月日ちゃんです…!!
これ…甘々ですかね……とりあえず 月島のツンは封印しました←
ぁ、あと!本当にリクエストありがとうございましたーっ!!
こんな作品になってしまいましたが マルシェ様に捧げます!!
 

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