黒子のバスケ-長編-
□ぼくが黒子になったわけ
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人間は怖い生き物だから、絶対に近付いてはいけないとお母さんは言った。
でも、あの日、僕を助けてくれたのは怖いと言われた人間で・・・守ってくれるはずのお母さんは、戻って来なかった。
何かあったのかも知れない。
ただ単に捨てられたのかも知れない。
「ほら、牛乳だ」
この人間。名前を火神大我と言って、拾ってくれたあの日から自分の事を面倒みてくれている。
『にゃあ』
ちゃんと猫用のミルクをくれるあたり、凄いなぁって思う。
今は入学待ちなんだって。
学校って言うのが始まれば、僕は一人でお留守番になるらしい。
「ほら、顔よこせっ」
ミルクを飲み終わった顔をタオルでゴシゴシされる。正直痛い。
でも一緒に住むにはキレイにしなきゃダメなんだって。
しばらく“おいっ”とか“ちび”とか“おまえ”って呼ばれて、入学して直ぐにこんな事を言われた。
「お前は…黒子みたいだな」
そう言って、火神君は笑って僕を抱き上げた。