シンさんの飼い犬

□甘やかす基準
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シン×ミント犬なお話。
ミントちゃんのシンさんに対する忠犬っぷりは、凄く可愛い。
という思いが突っ走って、某所にて誕生した「ミント犬」。
とっても愛されるキャラなんですよ。
というわけで、妄想が突っ走る訳なんです……。

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(これまでのざっくりあらすじ)←w
ある日、ひょんな事から樽経由で一匹の小犬が『某所=シリウス』に迷い込んでしまいます。
ごく一部から溜息をつかれながらもイチオウ乗船を受け入れて貰えた小犬は、シンさんにより「ミント」と名付けられ……
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「ん…」
軽く押さえられるような重みを感じて目を開けると、見慣れた自分の船室の天井。
(…なんだ?)
まだ覚醒しきっていない思考力を纏めるように、半身を起こす。
と、感じていた重たさの元が、驚いたように身動きした。
「……」
「……」
呆然と見つめ合う。
次の瞬間、
パタパタパタパタ…
嬉しそうに見上げてきたのは、ちぎれんばかりに尾を振る小犬 ミントだった。

「ちっ…誰がベッドに上がって良いと許可した?!」
シャツのボタンを留めながら、解る筈もない反語で小犬を叱責すると、尾を垂れ耳を伏せながらもミントは、上目遣いで目を逸らさず 足下へにじり寄ってきた。
最後の距離などは、匍匐前進と言っても良いだろう。
「きゅー…ん」
一声だけ、甘えるように伺うように、鼻を鳴らす。
(…悪くないな)
冷たく見下ろしながら、内心シンは感心していた。
どこかの顔だけ剣士なバカより、無駄吠えしない分賢いではないか。
自分の態度にも逃げず騒がず、様子を窺いながら甘えるように寄ってくるのが、尚良い。
「次、黙ってベッドに上がったら、部屋から追い出すからな。犬だからと甘やかすつもりは、オレは毛頭無い。むしろオレの部屋を選んだからには、相応の躾をするから覚悟しろ」
仕上げに眼帯を着けて見下ろすと、
「あんっ!」
再び尾を振りながら、嬉しそうにミントが応えた。


漂ってくる朝食の匂いに、メニューは何だろうかと考えながら階上へ向かう。
と、
「きゅーん…」
ミントが呼んだ。
「どうした」
振り返ると、階段の下でミントが佇んでいる。
「食事は上だ。さっさと上がって来い。」
踵を返すと、
「きゅーん…」
またミントが呼ぶ。
「何だ。」
再び振り返ると、数歩下がって走り出しては直前で止まる、そんな仕種をミントが繰り返した。
「……」
「きゅーん…」
途方に暮れたように、ミントが見上げる。
「……短足め。」
思わず溜息が出た。もう一度階下へ下り、今度はミントを抱き上げて船上へ。
「自分で上がれるように、今日は一日特訓するから、覚悟しろよ。」
申し訳なさそうに腕の中から見上げるミントを、睨み下ろして通告する。

一般的に船の階段は、空間構造や敵襲を考慮し、傾斜角度が急で段差も大きく取ってあるものだ。
(…この小柄な身体じゃ、無理か…)
予想していたものの、その日の特訓は徒労に終わり。
“シンばかり 小犬と遊んでズルイ。”
そんな陰口が聞かれ。
翌日には、“甘やかすつもりは無い”シンに抱かれて階段を昇降するのが、ミントの常となったのであった。


<FIN>




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