明るい夢の世界

□愛し続ける
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俺は生まれてから
ずっと健康だった。
だからこれからもずっと大きな病気なんかにかからず健康に生きるだろうと思っていた。
ーーーけどあの日から全てが変わった−
「青峰先輩!調子どうですか?」
俺は今、大学病院に入院している。
理由は怪我じゃなく癌だ。しかももうとっくに治らないことは分かってる。
ただ、彼女はそんなことを知っても気にした様子もなく毎日元気に俺の元にくる。
「俺の心臓が止まる頃には俺はこの世を満喫し終わっているだろうな」
ふとそんな言葉が漏れた
「っ!……何言ってるんですか」
ほんの一瞬顔を驚かせるがすぐに笑顔になり笑って返す。
「まぁ、お前が側に居ればそれだけでいいんだけどな」
そう言って頭を撫でてやれば照れながらも嬉しそうにお前は笑う
そう。それでいい。俺はお前が側で笑ってくれていればそれでいいんだ。
まだこの胸が脈打つ内はお前を守っていたい。
俺の生きる意味なんてそんなもんだ。
「好きだ」
「///////////いきなりなんですか!」
「いいじゃねぇか。別に。いつ言っても何回言っても」
「///////////////////////」
ホント可愛い。こいつと居るってだけで幸せだ。
こいつの涙も俺の涙も同じ涙を数えてお互いを知った。
−−俺はあと何度、お前に好きと言える?−−
そう思うと苦しくなってお前に好きって言えるのはあと何回かなんて数えたくなくなって
「////青峰先輩!は、離して下さい/////」
いつの間にか抱きしめていた。
そして何度も何度も好きと言った。
頭を撫で、
「俺は死ぬまでお前を愛し続ける」
そう言った途端いつもの明るい笑顔が泣き顔になった。
けどせっかくの可愛い泣き顔が何故か歪みはじめた。
やがて頬を涙が伝い、自分も泣いてることに気づいた。
「っ…私も青峰先輩のこと…ずっと…愛してます!!……」
俺は抱きしめる力を強めた。
−−「青峰先輩のバスケしてる所、もう一度見たいです」−−
ある日ふと彼女からそんな言葉がでた。
「やりてぇなぁ…バスケ…」
「私が青峰先輩が大好きな一番の姿」
そう言って彼女は微笑んだ。
ものすごくこの世で一番可愛い笑顔で。
その言葉を聞いてから俺の体調は著しく回復した。
担当医から運動許可が降り久々にバスケができることになった。
もちろん俺も嬉しかったが彼女は俺より喜んでいた。
近くの公園のコートですることになり、久々に彼女と手を繋いで歩いた。病院では歩くことが殆どないため体がすこし鈍ってしまっていたがそれでもシュート十発は余裕だった。
パチパチ…彼女は拍手をすると笑いながら
「やっぱりすごいや。へへ。かっこいい。先輩はバスケやってる時が一番かっこいい。」
そう言いながら俺の持つボールを取り、シュートを入れようとするが…外す。
「あんな小さな穴にこんな遠くからボールを入れるなんて簡単にできないもん。それを十発も連続でできる先輩はすごいです。」
「んなもん簡単だよ。お前にセンスがねぇだけだ」
くしゃりと頭を撫でる。
「うし!帰んぞー」
本当はもっとやりたかった。けど医師に止められてるから我慢する。
「あっ!ちょっ…先行かないで下さい!」
こんなこともう二度と出来ない……そう思った。
俺の体調が良くなったのは神様が俺に最後にバスケをさせてくれるためにしてくれたこと。
そう思った。
ー「大変です!青峰さんの容態が急変して…」ー
翌日、俺の容態は急変した。
ほら…思った通り。でもありがとよ。最後にバスケさせてくれて、あいつに見せてやれてよかった。
「先輩!……」
来た。俺の大好きで愛する人。
「……最後くれぇ、名前で呼べよ…」
「大輝!!大輝…大輝…大輝…」
何度も俺の名前を呼ぶ。
手があったかい。あぁ…お前が握ってるからか……。
「ありがとう……愛してる……」
俺の心拍が止まった。
「大輝…うん。…私も愛してる……」
彼女は落ち着いてそう言った。
−−−これからもずっと愛し続ける−−−
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