月、満ち欠けの空
□第四話
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彼が目覚めて二日が経った昼頃。
驚異的な治癒力を発揮した小十郎は既に庭で刀片手に素振りをしているし、もうね気にしない事にしたよ私は。
だけどさ、
『なんで私まで!!』
私を巻き込んで鍛錬は止めて欲しい。
「丁度良いだろうが?」
『良くない!三日は安静って言た!!』
「問題ねぇ」
『…本当に問題ないのね?』
「………」
三日間は安静って言ったのに「問題ないのね?」と少し黒い笑みを交えて確かめれば瞳をサッと逸らし沈黙。
ほー、そうですかそうですか。
『…じゃあ念のため…』
「っ…」
傷口を少し強めに押せば漏れる呻き声。
その声に私の目は据わる。
『…まったく』
「…っ、テメッ」
『なにか?』
「………………イヤ…」
怯んでいる隙に小十郎の刀を奪い鞘に納め部屋に上がる。
その時に小十郎の抗議が上がるが怒りの混じった声で聞けば、瞳を瞬時に逸らし私の後に続いて入ってきた。
上がってついて来た小十郎に刀を渡す。
『少しは安静になさいませ』
「………」
何も言わせない声音で言い放つ。
そして私は再び歩みを進め、薬箱を持ち家を出た。
[執筆:2013/07/06]