月、満ち欠けの空
□第六話
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今日の朝の一件があり何時もの日課から帰って来れば、小十郎は大人しく横になっていて微かに寝息が聞こえ、私の一言が効いたのか無理が祟り疲れたのだろう。
実際私が近づいても起きる気配は無いし、小十郎の頭を撫でていても反応が無くて安心してくれているのだろうか?と思ったが少し別な意味で心配になったのは内緒だ。
暫く頭を撫でてから立ち上がり夕餉の支度しに向かった。
*****
それから数十分経ち夕餉の準備が出来て、小十郎を呼びに戻る、襖越しに声を掛けてみるが返事はないが、布擦れの音がしたので起きているのだろうと思い少し遠慮しつつ襖を開けた。
開けた私は様子を見るため、顔を上げピシリと固まり次いで急いで顔を逸らす。
寝起きのこじゅ様、ハンパない色気だっだ漏れで、私を(悶え的な意味で)殺したいのですかこじゅ様!?と叫びたかった。
垂れていた前髪を両手で後ろへ撫でつける仕草、寝起きで襟元がはだけていて引き締まった胸筋が少し見えている状態が私の目の前で晒されたのだから直視無理!!
ーああ…良い体つき…抱きつきたい
悶えていると目の前が暗くなった。
「…どうした?桜」
そして無駄に良い声と、私の頬を撫でる掌があった。
未だ悶えていて無言な私の頬を撫でていたまま顎へ移動させて、くいっと持ち上げ小十郎の正面へ向けられた。
『――――…//』
「クッ…熱でもあんのか?顔が赤いぞ」
『…あ…あの、…火に当たり過ぎて…』
確信犯だ!
もう絶対分かってて言ってるよこの人!!
「(可愛いな)それでか」
『ん、それと、夕餉が出来たから//』
「ああ、悪いな」
顎から手を外した小十郎はまだクツクツと笑っていた。
多分、絶対に見惚れていた事がバレているだろう‥それを隠すために適当な理由を述べたのも。
熱くなった両頬を抑えながら私も後ろへ付いていった。
[執筆:2013/07/10]