月、満ち欠けの空

□第九話
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小十郎が帰り早二月が過ぎ去った。

あれから何時もの日常に戻りまして、村の中の病人を見回り時には隣村に赴き治療を施したりしていたが、ここ最近になって私の周りを嗅ぎ回っている者がいて「もうそろそろ潮時か‥」と身辺整理をして村を出る準備を整えて行く事にした。

それにこの村は私の命の恩人だから、また織田に滅ぼされる訳にはいかず、次の土地へ行くのも良いだろうと考え、この村を出る日取りは今日から五日後なるべく早い方が良い、だが出る前にこの村と隣村の治療薬を煎じておく必要があると出来る限りの薬草で数種類の飲み薬や塗り薬‥それから貼り薬などを作っておくことにした。






*****







ーそして村を出る当日、村長宅にて。



「長い間、お世話になりました」
「もう行ってしまわれるのか桜さん…」
「桜さんが居なくなると寂しくなるわ…」


お別れとお世話になった挨拶を二人にすると村長さんとその奥さんのお多江さんは、寂しくなると言いつつ引き止めることは出来ないと分かっている為、行かないでくれと言わない。


「またこの村に元気な顔を出しておくれ」
「ええ、それはもちろんです」
「その時は料理を奮うわ」
「楽しみにしています」


また来て、と涙ながらに言われ嬉しくまた来ますと告げ最後に村長さんには腰痛に効く貼り薬をお多江さんには滋養強壮の薬茶を処方した。

腰をあげ荷物を持ち、村長宅の裏手側から村を出る。
お見送りは村長さんとお多江さんのみで、それ以外の人達には事前に処方薬を渡しながら済ませてある。







*****






それから数時間が経った頃。


「Shit!!遅かったか…」
「どうやら桜が去った後でしたな」
「まだ近くに居るだろ、探させろ」
「はっ」

「(HA!!二匹の竜から逃げられると思うなよKitty?)」


その村に二人のお侍さまがやってきていたらしく、村に居ない桜を忍に探させていたとは知らない。






[執筆:2013/07/21]

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