月、満ち欠けの空
□第十話
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‐小十郎side‐
桜と別れて早二月が経った。
「政宗様、小十郎に御座います」
「Ah-…小十郎か、入れ」
「失礼致します」
許可が降りたのでススッと襖を開け中へ入る。
俺が入り部屋を見ると、今日は珍しく未だ逃走を計っていない己の主君である政宗様が文机に向かっていて、そして政宗様が俺を呼んだ理由は分かっている。
「小十郎、あのgirlの事が分かった」
「真に御座いますか!?」
「I see、だが驚くぜ?(ニヤリ)」
「?」
政宗様が俺が驚く程の事らしい。
わけが分からず首を傾げると…
「コレを見な…斥候が持ち帰った情報だ」
「拝見致します…」
渡された巻物をつらつらと読んでいく。
*****
そしてある文章を読みハッと顔を上げ政宗様を見る。
「政宗様」
「ああ、魔王織田信長に滅ぼされた御剣家の生き残りだ」
「俺と親父、そして小十郎の命の恩人でもある」
「はい」
「俺はアイツを桜を伊達軍に迎えてぇと思ってる」
「それは‥小十郎も同感に御座います」
「All light、だったら話は早ぇ‥迎えに行くぞ」
「御意」
そうだ御剣家と言ったら薬草に詳しい家系で、ありとあらゆる薬草を使い時には毒にもなりうる薬草でも調合の仕方により良薬に出来る知識が豊富な誰もが欲しがる薬師。
それが六年前にその万能な薬師欲しさに滅ぼした御剣家の生き残りが居たとは知らず、そして御剣家は伊達家お抱えの薬師でもあり、桜の父君は輝宗様をそして桜自身は政宗様の御心を救い俺を瀕死から助けた方だ。
ーだったらあの"超絶苦い薬湯"は頷ける
後は自ら戦場に赴き戦っていた事も記されていた。御剣の戦姫と呼ばれ俺とも刃を交えていた事も、あの時の少年は実は少女でその名を馳せて政宗様と肩を並べるくらい強かったと鮮明に脳裏に思い出されていた。
あの時、治療されていた時に引っ掛かっていたものが漸く分かり、やはり俺のモノにしたいと胸が熱くなるのを感じ、今度こそ桜を連れて帰る為に迎えに行く準備を始めたのだった。
[執筆:2013/07/27]