小ネタ

□船長誕生日おめでとう!!
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五月五日、それは我等が船長の誕生日。


音楽家は特別に作曲した唄、船大工はビームの出るロボット、考古学者は挿絵付きの絵本、
船医はお腹のお薬、コックはいつもの食事より豪勢に美味しく、航海士はたくさんの蜜柑、
剣士は自身で獲った海王類。


さぁ、あとは船長が起きてくるのを待つだけ、
というところで廊下から騒がしい足音が聞こえた。


ああ、彼だ。

船員たちは知らず知らずに笑みを浮かべた。


大きな音を立てて空いたドア、その向こうに彼はいた。






・・・・・お前ら誰だ!!?






・・・・・身長110センチの体で、という予想以上の問題を抱えて。




至急、一味全員で緊急会議が開かれた。
































チョッパー曰く、一時的な『記憶喪失』ということらしく
レントゲンで胃の中を撮った時に見つかったキノコが原因だろう、という診断が下された。
多分昨日寄った島で食ったやつだ、と頭を抱えたのはその場にいた狙撃手だった。

誕生日にも問題を起こす奴だな、と呆れながら呟いたのは剣士、同意したのは全員。




「なぁ、ルフィ。お前今何歳か覚えてるか?」


「うーんと・・・今日で五歳だな!」


五本の指を上げて笑う船長、剣士とコックが口元を抑えて屈んだ。
それを考古学者と船大工が呆れた目で見つめた。
それに気づかず、ルフィはきょろきょろと周りを見上げる。



「なぁ、ここどこなんだ?」

「ここは海賊船よ」

「え、かいぞく船!?おれ売られんのか!?」

「売らないわよ」



驚きの声を上げたルフィに苦笑しながらナミは笑った。
きっと、シャンクスとは会ってないんだろう、
麦藁帽子はルフィのベットの上に置いてあった。
肌身離さない彼からしたら少しおかしな光景だった。



「どうしよう、じいちゃんには言わないでくれよ!
さらわれたって知ったらおれ、じいちゃんのしごとばにに連れてかれちまう!」


「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」



今、海賊とした察してはいけない言葉を聞いてしまったような気がする。


「る、ルフィ―くーん・・・それ、どゆうこと?」


汗水だらだらなウソップが恐る恐る聞いた。


「おれ、むらで一人でるすばんしてるんだ!
ふだんはむらの人たちがいるからへいきだけど、
じいちゃんたまにしかかえってこねぇし・・・
心配してじいちゃんがおれをしごとばに連れってちまうかもしれないって村長が・・・」




船長の家庭は思ったより深刻のようだった。


そういえばいつぞやかルフィが「父ちゃんのことはよく知らねぇもん」と言ってたのをロビンは思い出した。
なるほど、言っては悪いが育児放棄か。
だからその分祖父は過保護になったのか。




きゅるる〜〜




気まずい空気になった船内に、響いた可愛い音、

見れば、我らが船長がお腹を抑えて見上げていて



「腹へった!メシ!!」



ああ、姿記憶は変わっても、中身は変わってないのか、
と一味はある意味安堵した。
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