うたぷり 夢小説2
□未知
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焼けた肌が膿んで、私の腹部は酷い有様だ。
焼け跡を変に刺激しない様にと、まさかの下着姿。
アイドルとしてそんな姿を見せる事は出来ないから、私の病室の前には面会謝絶の四文字が。
とは言え、仲良しの人は遊びに来ても大丈夫なんだけど。
因みに病室は超豪華な個室。
…早乙女さん凄い…ね…。
私に硫酸をかけたのは、名も無い新人アイドルのお父さんだった。
その子に仕事が来ないのは、私の所為だと思ってるらしい。
だから私が居なくなればって思ったんだろう。
残念だけど、そのお父さんのやった事が世間に報道された瞬間にその子のアイドルとしての生命線は絶たれた。
だって犯罪者の娘だから。
可哀想だけど、その子はもう仕事が来ないだろうな。
なんて冷静に考えたりするけど、実はほんのちょっぴり羨ましい。
そりゃ、他人を傷つける人は嫌だけど。
私の父親は、私の存在を認識してるんだか解らないし、ね。
と、その時ドアがノックされた。
看護婦の中村さんだ。
彼女は私の身の回りを全て請け負ってくれている、四十代のベテラン看護婦。
「包帯、替えに来たわ」
私を放っておけないらしくて、母性愛で包み込んでくれる優しい人。
友人に接する様な口調が私の緊張感を解いてくれる。
と、その時再びドアがノックされた。
「お兄ちゃん…?」
「龍那?入って良いか?」
中村さんが目でどうするか問うてくる。
私は了承した。
だってお兄ちゃんは唯一の家族だから。
お兄ちゃんの前で包帯を替える。
無残な傷跡にもお兄ちゃんは目を背けなかった。