ほのぼの小説
□序章
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蝉が鳴くのをやめ、木々の揺れる音が聞こえるようになってから、数刻。
やめて、苦しいよと泣き続ける幼い少女が居た。
殴られたような音がして、ついで女の高い声が少女を罵倒する。
床に転がった少女を見ては女が怒鳴る。
そばにいる男は全く無関心で。
少女は目を瞑りながら謝り続ける。
しかし、女は聞く耳を持たず。
「お前の所為で私は…!!!!!!」
地を這うような声で、女が呟いた。
少女の肩が震えたと同時に、女の手が真っ赤に染まった。
何もかもが、赤く、紅く。
染まっていった。