ほのぼの小説

□第一章
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翠鸞が王宮に囚われてはや一ヶ月。

その間彼女は外に出る事も叶わず、大きな金襴豪華な部屋で生活していた。

出ようとしても出れず、気力が削がれる。

付き人である女人が沢山つき、何ひとつ自分でする事が出来ない。

そんな女官は毎日翠鸞を睨みつけながらお仕事だ。

翠鸞はもう緊張ではちきれそうだ。

惣鸞に会いたいという想いが強くなり始めた時、初めてその重い扉が開いた。

一斉に微笑み、頭を垂れる女官達。

わけも解らず呆然と立ち尽くす翠鸞。

そして彼女は、とある人物と出会った。

綺麗な刺繍が施された藍色の服を身に纏った、長身な男の頭上には、後継者を示す冠。

この国の第一皇子である。

皇子は、とても整った顔立ちをしていた。

すべてを神が自ら手作りしたかのような、人形の様に整った顔立ち。
言葉では言い表す事が出来ない、圧倒的なオーラ。
綺麗な琥珀色の瞳に、金色の髪の毛。

細くも逞しい風貌の持ち主が、静かに部屋に入ってくる。

綺麗な琥珀色の瞳に、紅が映る。

見つめ合う事しか出来なくて。

皇子が口を開いた。

「名は?」

その声に、ふっと緊張が解かれた。

「人に名を尋ねる時は、まずは自ら名乗るべきよ」

皇子がふっと微笑んだ。
その通りだ、と。

「俺は凰。君は?」
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