うたぷり 夢小説
□第2小節 言の葉が紡ぐ想い
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その日、私は林檎ちゃんに呼び出されてAクラスに足を踏み入れた。
途端に感じる視線。
でも横に来栖翔が居てくれて、結構安心。
「…月宮先生」
迷った挙句生徒らしく林檎ちゃんを呼んでみると、林檎ちゃんが明らかに暗くなった。
「瑠衣ちゃんが疎遠だわっ。酷い!」
なんて。
「ご、ごめん林檎ちゃん。で、要件って…?」
「あ、そーだわっ。…はいこれ!瑠衣ちゃんはこれをアレンジしてちょーだい」
よろしくねっ♪
すると横の来栖翔が口を挟んだ。
「なんで天霧がAクラスの課題やるんだ?」
「Aクラスの課題じゃ無くて、私の今度の新曲よーっ。
瑠衣ちゃんのアレンジ、聞いてみたいなーってあたしは考えてるのよーう」
貴方なら綺麗で私好みの歌を必ず作ってくれるでしょう?
微笑む林檎ちゃんがわたしを期待してくれているのは明らかで。
林檎ちゃんの、新曲の、アレンジ…。
正直怖いって思う。
でも、私の曲を林檎ちゃんが歌ってくれるなんて、こんな素敵な事が他にある!?
「や、やる…」
「え、本気かよ!?」
驚く来栖翔を他所に。
「ありがとー!!」
私は抱きついてくる林檎ちゃんから逃れるのに必死でした。
「もぅ、なんで避けるのー」
「ひ、人前だし…!!」
「人前だったら可愛い可愛い妹分を抱きしめたらダメなのー?」
妹。
その言葉に過剰反応する。
私は実の家族と関わりが殆ど無いから、どこまでがスキンシップなのか解らない。
海外ではキスも当たり前だったけど、日本はそうじゃない。
…解らないっ。
真っ赤になって慌てて居ると、
「可愛いー」と後ろから林檎ちゃんに抱きつかれた。
ひゃっ!?
「瑠衣ちゃん肌綺麗ねー。もう、おねーちゃんが知らない間にピアスまで開けちゃって〜。
なになに?姉離れ?」
ニコニコ話しかけてくれる林檎ちゃんと、クラスの皆からの視線。
こ、怖っ
なのに林檎ちゃんは御構い無しで、その体制のまま来栖翔に声をかける。
「瑠衣ちゃんにこんな事したら殺すからねっ♪」
私にはその言葉は聞こえなかったけれど、来栖翔は何故かビクついて敬礼していた。