夢の中はまるで水の中
□第一章
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「あーあっ!なんでわたしまで……」
むすっとしながら山の 獣道を歩く。
「あー、本当にムカつく」
そう呟いて足元にあった石を思いきり蹴る。するとけっこう遠くへ飛んだようで、イデッ、と声がした。
なんとなく誰に当たったかは想像できたので、その主の方へ走る。
そして赤い髪が見えた。
「おーい。たーくまぁー」
そう言って手を降ると睨まれた。どうやら蹴った石はやはり拓磨に当たったようだった。
「おい……瑞香……」
「あ、アハハハハー!ごめんごめん。当たっちゃったみたい!」
私は笑いながら謝る。
すると拓磨は睨みながら私に歩み寄る。え?なにするのだよ。
そう考えていると……
わしゃわしゃ頭をなでられた。いや、叩かれる並みに痛かったから多分撫でたという表現じゃあわないだろう。
「そうだ拓磨」
私はこの痛みから解放されるために話題を変えた。
「なんだ?瑞香」
「あした転校生がくるんでしょ?」
「ん、あぁ。そうらしいな」
「女の子なんだって!可愛いかな? 」
そんなことをきくとすこし拓磨が苦笑いをした。
そのとき、彼女は妖艶な笑みだった。