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□片思い
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ー俺は長らくの間、アイツに片思いをしていたー
「ハル」
そう呼び止めた俺は、次に紡ぐはずの言葉を飲み込んでしまった。
それもそうだろう、誰もいないプールで1人でアイツが泳いでいたのだから。
「………リン…?」
表情をあまり変えない顔が、驚愕からか少し目が見開かれている。
「…」
「…」
互いの沈黙、ハルの髪から滴る水音が、ヤケに大きく感じた。
その沈黙を破ったのは、紛れもない俺自身だった。
「ハル」
私服でもお構い無しにプールに入り、ハルに近付いていく。当の本人は目を見開き動かないままだ。
「リン、服濡れ…っ!!!」
ハルの目の前まで来たかと思えば、そのまま抱き締めたのだ。