タイトル
□うたた寝
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これがもしうたた寝の束の間の夢だとしても。
「クラピカ」
名前を呼べる事が嬉しい何て。
「何だ?」
返事が返ってくるのが嬉しい何て。
「好きだよ」
自分の気持ちを素直に言える事が嬉しい何て。
「..私もだよ」
そう言って君と見詰め合う事が出来るのが嬉しい何て。
今迄知らなかったよ。
君と出逢えて沢山の事を知れたよ。
知らなかった僕自身の事も知る事が出来たよ。
「壊す」事しか知らなかった僕にとって、君は些か眩しいけれど
それでも、隣に居たいと心から思うよ。
こんな事を言ったら、きっと君は眉を顰めて笑うだろう?
気紛れも偶には心地が良いな、何て言うだろう。
確かにまだ気紛れかも知れない。
けど、もし君に
「ずっと一緒にいて欲しい」
何て言ったら、君は笑ってくれるかい。
「らしくないな」
って言って、僕の手を取ってくれるかな。
でも今はこのままで充分なんだ。
夢を泳いでいる感覚も嫌いじゃない。
これがもしうたた寝の束の間の夢だとしても、
この刹那に生きていたいと切に願うよ。
fin.