薄桜鬼
□言葉にしなければ
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「はぁ・・・」
布団の中で何回目かわからないため息をつく。
今日は早めに寝ようかと思っていたのだが、なかなか寝付けない。
『左之助さんは私のことをどう思っているのかな?』
悩みの答えは私でもなく他の誰でもない左之助さんしか答えを持っていない。
聞こうとは思っている。
けど勇気が出ない。
ひと月前、左之助さんに気持ちを告げられた。もちろん私も好きだったので断る理由はなかった。
やっと気持ちが通じあった。
そう思っていたのも少しの間。
ここ最近は私を避けているようにしか思えない。
もう何日、二人で合っていないだろうか・・・。
左之助さんは女の人に人気がある。
そもそも私が少しの間だけでも一緒に居れた事自体が奇跡的だったのかもしれない。
『だめだめ、左之助さんの事信じないと』
そう思うのに、悩めば悩むほど私の思考は悪い方へと向かっていく。
この思考を断ち切ろうと私は布団から起きて、庭に向かった。