Medium or Short
□S「酔ったら?!」(完)
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Neta「酔ったら性別変わりました」から短編に昇格したなにか。
「いらっしゃいませ、イカ野郎!!」
海上レストラン“バラティエ”は今日も至って平和である。
「お!またパティとカルネの“極道コンビ”がショーを見せてくれるみたいだぜ」
「なんだ?今回はどんな命知らずだ?」
レストランに笑いが広がる。
そして、しばらくすると数人コックにぶっ飛ばされ海へ消えた----
そう、今日もいつも通り平和だ。
「麗央ちゅわぁあん!やっと来てくれたんだねー!待ってたよー」
そして、このラブリーハリケーンでやってきたのが私の彼氏、素敵眉毛…もといサンジ。
「昨日もきたじゃん」
「そんなツレない麗央ちゃんも好きだぁあ!」
優しくていい奴なのだが(素敵眉毛だし)、誰にでも簡単にこういうことを言ってしまうのが悩みの種だ。
だから、ちょっと意地悪してみるのです。
「私の方が好きだけどね」
「?!」
途端に顔を赤らめる素敵ま…サンジ。
「こら、サンジィ!そんなとこでいちゃついてないで、とっとと働けー!!」
「あ、ゼフさん。またお邪魔してます」
「麗央か。最近は身体の具合は大丈夫か?」
サンジを蹴っ飛ばしてやってきたオーナー・ゼフさんは私の父親代わりの人である。
漂流していたまだ幼かった私を助けてくれたのが始まりで、近くの島で働くことができるようになるまで面倒をみてくれた、大恩人だ。
「うん。お酒止めてからは調子いいです」
「……もう飲むんじゃねぇぞ」
「え?う、うん…」
少し考えるそぶりをしながら、ゼフさんは奥へ消えて行った。
目の前にあった料理も、もう食べきってしまった。
「さて、そろそろ帰りますか!」
この時は、思いもしなかった。
サンジがいなくなってしまうなんて----