パイレーツ

□前略、恋をしました(ルフィ)
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朝にはナミが交代に来てくれると言っていたからそれまで何も考えずにひたすら料理を作り続けよう。
サンジは冷蔵庫の鍵をあけ、中にあるいくつかの食材をキッチンのテーブルに並べ、試行錯誤しながらそれらを片っ端から料理していく。

誰も食べないという結果になるかもしれない、そしたら停泊している他の船に振る舞おうかと考える。
そんな無駄遣いはご法度だとわかってはいるけれど、人生できっと一度きりの失恋だからこれくらいは許してほしい。
だって、もし、ルフィに受け入れてもらえたらルフィにいっぱいたべてほしい、そう思い大切にしていた食材だから。

味見をしてみる、何故かどれもこれもしょっぱい。まるで自分の人生みたいだ、しょっぱい、しょっぱすぎる。
サンジは手を止めカウンターに突っ伏した。
考えないようにしても、出会ってから毎日考えていたのはルフィのことで、他に何をどう考えたらいいのかサンジにはわからなかった。

「サンジ」

ハッとして顔をあげた先にルフィがいた。いつ船に帰ってきたのだろう、自分がうじうじしている間にまさか日付がかわったというのだろうか。

「サンジ、どうした」

ルフィが心配そうな顔で近づいてくる。周りにたくさんの料理があるのに、それには目もくれずにまっすぐにサンジを見つめ、近づいてくる。 そんな些細なことでもうれしいと思ってしまうくらいにサンジはルフィにもってかれているのだ。

「るひぃ…」
「泣くな、サンジ」

言われてサンジは自分が泣いていたことに気づく。顔を触ってみれば顔はどろどろでシャツは色が変わるほど。
だから、しょっぱかったのか

「サンジ」
「ルフィ、なんで」
「戻るっていったじゃねぇか」
「…そうか」

ルフィはサンジの顔を自分の手のひらでごしごしとふいてくれる。
かっこわりぃな、俺。サンジはそう思いながらもしばらくはルフィのでっかいやさしさに甘えてみようとおもう。

「サンジ、なんで泣いてんだ?ホームシックか?ゾロに意地悪されたか?」
「いや、料理したのに…食うやつがいないから…かな」
「なんだよ、俺がいるじゃねぇかよ。食っていいんだろ?」
「ああ、全部てめぇのもんだ」
「にししっ!もうけ」

ルフィはひょいとテーブルにうつるとむしゃむしゃと平らげていく。サンジはその姿を見ながら、肩の力が抜けていくのがわかった。
たばこをとりだし、火をつけ深く吸い込んでみれば少し冷静になれるのがわかる。

「ルフィ、ありがとうな」
「うめぇよサンジ! 」

自分はこれでいい。ルフィの夢がいつか叶うときまで、そして船を下りるその日までこうやってルフィの血となり肉となるうまい飯を作り続ける、それでいいと。







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