パイレーツ

□医者を呼ばないで(ロー)
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「っ、いて…」
「どうしたんだ、サンジ!!」

甲板でおやつの片づけをしていたサンジ。
そこに強い風が吹いて帆をはったままの船は生き生きと動きだす。
風が気持ちいい、そう思っていたのもつかの間。

「あー、わりぃチョッパー大丈夫だ。目になんか…ゴミが入ったみてぇだ」
「医者―――!!」
「落ち着けチョッパー」
「大丈夫か、サンジ!」
「サンジくん大丈夫?」
「目から血が出て最終的に眼球が飛び出てきたらどうしましょう」
「なみすわん、ロビンちゅわぁん、だいじょうぶだよーん!!君たちのために俺はこんなことじゃくじけないさ!」

そうはいっても。
たかが目にゴミが入っただけだと、唯一みんなから見えていた目を押さえてしまえば自分自身、前さえも危うい。
そのまま涙で流そうと立ち止まり目を押さえていると「目薬取ってくるからな!」とチョッパー。

「あー、大丈夫。涙でそうだから」
「見せてみろ」
「え」

「あ」と周りがこいつもいたなと、思っていれば死の外科医と呼ばれる男、トラファルガー・ローがサンジの手を取り無理に顎を上に向かせ右の瞼をこじ開けた。

「いってて、何だよ急に。大丈夫だって」
「あー、ゴミだな」

わかってるよ!!というまもなくローはサンジの眼球をベロリと舐めると「取れたぞ」とこともなげに言う。
固まる周囲は瞬きも忘れてそのまま立ち去るローを見ていることしかできなかった。

そして誰よりも固まったサンジは口をパクパクさせたまま立ちつくす。

「あれ、あいつ外科医じゃねぇの?何、急に眼科医になっちゃった?え、なに、今俺何された?治療?治療かチョッパー?!治療なのか?!!いや、ちょっと待て待て、落ち着け自分!…チョッパー今すぐ俺の心を治療してくれ!!何か大事なもんを…失った気がする―――――!!!!」
「ギャー!!落ち着けサンジぃ!!医者――!!」
「医者を呼ばないでぐれぇぇ!!」

今のは気のせいだ、見なかったことだ、いや初めからサンジの目にゴミなんかはいってない。と今日も麦藁の一味は同盟を組んだばかりの死の眼科医…いや、外科医とともに航海を続ける。













おわり

20130728

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