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□「ローとサンジ」 シャンプー編
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「あぁ、もうなんて綺麗なんだ。この手触り、感触、指通り!!こんな船の上で炎天下にさらされてロビンチャンの髪はロビンちゃん同様うづぐぢぃぃー!!!!」

太陽に手を伸ばし、ハートマークをとばしながら、サンジはロビンの髪の美しさにただただ感服するばかり。
涙を流し感動しながら黒くしなやかなロビン自身のような輝くほどに美しい髪に触れているのだ。

「うふふ、サンジありがとう」
「ぐをおぉぉー、ますます綺麗になって何を目指すんだよロビンちゅああぁん!!」

サニーの甲板にビーチチェアを置いて、そこに寝転がるロビン。サンジはボトルに手を伸ばし、それを両手で優しく混ぜ温めるとソッと目の前のロビンの髪に触れる。涙を流し、称賛の言葉を唱えながら。

そんなおかしなサンジを見ながら鼻をほじるルフィは二人の傍にいるチョッパのところまでビョンと飛んでいく。

「なぁに、泣いてんだサンジは!!何やってんだよ」
「昨日出てきた島で、知り合った医者がくれたもんなんだ。海の上で生活してるとキューティクルがなくなるからな、それを保護してくれるんだって。俺はトナカイだし、体中に塗るわけにはいかないだろ?だからロビンに」
「なんだぁ、喰えねぇのか」

チョッパーが見せてくれたボトルのオイルを見て、つまらなそうに再びビョーンと伸びて、サニー号の柵へと飛び移る。隣にいたウソップを驚かせながらそこにあった釣り竿でいつものように釣りを楽しむルフィ。

「サンジーー!!でっかいの釣るから後でうんめぇもん頼むからな――!!」
「はいよ、船長!!ロビンちゅあんのキューティクルを守った暁には俺は騎士からコックに戻るぜ!!」

ロビンに直接陽が当たらないようにと設置されたパラソルが風で揺れる。サンジは目を閉じウットリしているロビンの顔を見ながら、やっぱりこの船の女性陣は最高だなぁ、ナミさんはもちろんロビンちゃんもうつくしすぎるぅぅ〜しかも俺に安心して任せてくれて…俺のこと好きにならないかなぁ…などと邪なことを考えていた。

大きな樽を足元に置いて、ホースを伸ばしたシャワーでロビンの髪についたオイルを水で洗い流していく。まるで一本一本生きているかのように、丁寧にサンジの指がロビンの髪を梳いて行く。
そして、流し終えて真っ白なタオルでぽんぽんとロビンの髪の水分をとっていく。ロビンはそんなサンジににっこりと笑顔を向けてゆっくりと起き上がるとそのタオルを受け取り、くるくると器用に髪に巻きつけた。

「ありがとう、サンジ。とてもきもちよかったわ」
「せっかくだから乾かすよ〜」
「いいえ、大丈夫よ。このままチョッパー連れてお風呂に入るから」
「風呂?!」
「ええ、ありがとう。明日にはどんな効果が出るか、楽しみね」
「うんうん、いいんだよ、ロビンちゃーん!!また今度キューティクル守らせてね―!!」

申し訳なさそうな顔をしたチョッパーを抱いたロビンは、そのままバスルームへと行ってしまう。夢のような時間は終わり、船長の釣りの具合はどうだろうと考えながらパラソルをたたみだすサンジ。そこに静かな足音をさせてやってきたのは現在ひょんなことから一緒に航海をすることんなたローだ。
最近、このローは何かというとサンジの傍に来て、本人はその気はないのかもしれないがからかっていくようになった。
サンジにしてみれば扱い慣れてない餌付け中の猛獣がきたな、という感覚だ。

「お前は何屋だ」
「…は?お前いうところの黒足屋じゃねぇの?」
「コックだけじゃなくて、美容師までとは…」
「尊敬するだろ?」

フッと口角を挙げて笑うローに、ぴんと来たサンジはそのままいたずらっ子の顔をして、ローの頭に載っているもふもふの帽子に手を伸ばし、そのまま取り払ってしまう。

「なにをする」
「どうぞ、いらっしゃいませお客様。当店はシャンプーからコンディショナー、仕上げに手に入れたばかりの高級オイルで日ごろの疲れから来る髪へのストレスを軽減させることができる魔法のような髪屋でございます」
「…なにを」
「ふ、まぁ寝てみろや、お客様」

大げさなほどに手振り身振りでかしこまり、遂にはそろえた右手を胸もとまで運ぶサンジ。そして先ほどまでロビンが横になっていたビーチチェアを顎でさし、人の悪い笑みでローを見た。

「…つきあってやろうじゃねぇか」
「水、苦手なんだろうが。てめぇで体験できないほどの快感教えてやるぜ」
「あぁ、好きにしろ」

ローはビーチチェアに横になると長い脚を組み、目を閉じた。サンジは閉じたばかりのパラソルを広げ、再びローに当たる陽をさえぎるように立ててくれる。













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