シリーズ

□「ローとサンジ」 しゃっくり編
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「ひっく、おいマリモ、ひっく、腹巻き洗濯に出しやがれ、ひっく」

日差しからも隠れられるゾロならではの昼寝場所。ここでいつものようにみんなの声に耳を傾けながら、ゾロ曰く見張りも兼ねて体を休めていた。
そしていつものようにすっかり寝こけてしまっていたところに、これまたいつものようにコックの蹴りを腹に受けてもんどりうって目が覚めた。そして売られたケンカは買うという性分のゾロは「てめぇ!!何しやがる!!」といつものように突っかかって行った、いや行こうとしたのだが。

「起きたか、マリモ剣士。ひっく」
「あ?なんだ、そりゃ」
「腹巻きだよ、てめぇのひっく弱い腹を守ってるって言う…うひゃひゃ、そのひっく腹巻きだ!よこせ」
「…しゃっくりなのか?」
「あ?ああ、とまんねんだ、ひっく。気にすんな」

蹴られた仕返しにちょっとからかってやろうとゾロは企んだ。
そしてにやにやと笑いながらサンジの両肩を両腕でもって掴み押さえつけた。

「なんだ、そんなの驚きゃとまるだろうが」
「あ、てめぇ、なに…んぎゃーーーーー!!」

そこにちょうど、タイミングが悪いのか運が悪いのか通りかかったのはロー。最近サンジに興味を持ち始め、決して嫌いではないと思い始めた相手だ。
そのローが通りかかった。ゾロの後ろを通りながら、サンジと目があった。

「…止めたほうがいいのか?それとも公認か?」

ローは少なからず戸惑った。なぜならこの船の剣士とコックが白昼堂々キスをしているのだから。

バキィという音とともに、ゾロが蹴り飛ばされた。そして、ざけんなー!!と騒ぐサンジの顔を見てみて、ローは「ぷッ」と噴き出したのだ。なぜならサンジの鼻の頭に、サンジ言うところのマリモ剣士の歯形がついていたのだから。

「デキてるんじゃねぇのか」そうホッとしたようにつぶやいたローの言葉は怒りに震えるサンジの耳には届くはずもなく、すぐさま吹っ飛んだゾロを追いかけていってしまう。

「マリモーーー!!てめぇおろしてやる!!」
「でも止まったじゃねぇか!!眉毛!!」
「〜〜〜他に方法あるじゃねぇか―――!!」
「はは、似合ってるぜそれ」

鼻を指さされて、サンジは怒り沸騰だ。痕が残っているのは見なくてもわかる、相当痛いからだ。こんな鼻をナミやロビンがみたらどう思うだろうか。チョッパーは治してくれるだろうか。和の国にはしゃっくりは鼻を噛んで直すというマメ知識でもあるのだろうか、実際治ったけれど釈然としない。

サンジはひとり、うーんうーんと悩む。そこにスッと差し出されたのは緑の腹巻き。洗い替えが一体何枚あるのかサンジはよくはわからないけれど、こうやって声をかけないと洗濯には回ってこない代物だ。

「ほら、腹巻き。洗濯頼むぜ」
「…このマリモ野郎、寝てる間に×××切り落として刺身にしてやるからな」
「変態か?!…てめぇ喰いてぇのか」
「いらんわ、ボケ!!腹巻きなくて、腹でも壊せ!!」

湯気が出そうな程怒りに染まるサンジを見送ると、うるせーなどとブツブツいながらゾロは再びごろんと横になりすぐにグーグーと寝始めた。



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