dream long
□第2章
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「リヴァイィ、もういいでしょ〜?」
「まだだ、後100回残ってるだろ」
「だからってこんなおおっぴろいところでやんなくてもよくないぃ?たかが腹筋だよぉ?」
「そのたかが腹筋に2時間かかってるお前は相当だな、体が鈍りすぎだ。自主練をしとけといったはずだが」
「えぇ?そんなこと言ってたっけぇ?私の記憶にはなッ「喋ってねぇでさっさと腹筋しろ」わざわざお腹踏まないでもいいでしょぉ?!」
とても微笑ましい光景で、こちらから見れば滑稽だ。
そんなことを思ってるのはここにいる兵士全員だろう。
そんなことを考えながら立体起動装置の検査をするオルオさんとペトラさんは既に手元を見ていない。
「いーち、にー、さーん、よーん、ごーぉおぉおおぉぉおお痛い痛い痛いぃ!!リヴァイィ!!私一応病み上がりだからぁ!!!」
「ごちゃごちゃ言ってる間に20回は腹筋ができるぞ」
「そんな高速にできないからぁ!!!私はあんたと違って腹筋バッキバキなわけじゃゲフッ」
「さっさと動け家畜」
あんなに楽しそうに人を踏んでいる兵長は見たことがない。
絶対楽しんでるよあの人。
「だ、だって見てリヴァイィ!!!みんな立体起動いじるのやめてこっち見てるよぉ!!ここでやらない方がいいって絶対ぃ!!」
話をこちらに振られみんな慌てて立体起動に向き直す。
「誰もみてねぇじゃねぇか、お前、パチこいたのか」
「ち、違う違うぅ!!みんな慌てて向き直したからぁ!!私見てたからぁ!!!」
「・・・・・・・・・信じねぇ」
「あああぁぁぁあああぁぁぁあぁぁあぁあぁ!!!待って待てぇ!!!腹筋キリキリいってるぅ!!!」
でも、上から踏まれてるのに喋れてるし耐えられてるってのはすごいと思う。
心から尊敬する。
「じゃあじゃあ!!この踏んでるのに5分間耐えられたら終わりっていうのはどうかなぁ?!」
「・・・・・・・・・悪くねぇ」
「おっけぇ!!!決まりねぇ!!!じゃあ今から5分ねぇ!!よーいドン!!!」
兵長は懐中時計片手に名無しさんさんのお腹の上に乗ってる。
65kgがあの細い体の上に乗っている。
THE☆滑稽、だ。
「今何分たったぁ?」
「3分だ」
「後2分ねぇ!!てかリヴァイ重くなったぁ?」
「余計なお世話だ、お前は見た目以上に痩せこけたな。家畜」
「だぁかぁらぁ!!家畜じゃないってばぁ!!!」
「ああ、すまんかったな、雌豚」
「それってランクアップしてるのぉ?!それともダウンしてるのぉ?!」
「ダウンだ、雌豚」
そんなやりとりをしている間に5分経ったようで兵長が名無しさんさんから降りる。
不意にぱっとこちらを見た兵長と兵士全員の視線が結びつく。
「お前ら、何見てる、立体起動の点検はどうした」
「しゅ、終了しましたッ!!!」
どこかの兵士が叫んだ。
そんな姿を見て名無しさんさんがクスッと笑った。
「みんなそんなにリヴァイが怖いのぉ?」
「お前は俺を舐めすぎだ」
立ち上がった名無しさんさんとの身長差はやはり素晴らしい。
そのこともあって兵長は靴を脱いで欲しいのだろう。
「久しぶりにやってみるぅ?対人なんとかぁ」
「いいだろう、やってやる、お前の腕が確実に鈍ってる事を期待してな」
短剣貸してくれるかい、と言った名無しさんさんに短剣を渡すジャン。
なんであいつ持ってるんだろうか。
「じゃあリヴァイがならず者ねぇ」
「ああ」
弓矢のように真っ直ぐに投げられた短剣をキャッチする兵長。
やべぇ、すげぇかっけー。
兵長が受け取った瞬間に走り出した。
速くて見えない。
しかし名無しさんさんも負けてない。
素早く左側に避け、足を掛けるがそれを避ける兵長も流石だ。
グイっと可憐なターンをして首元に短剣を持っていこうとする。
が、
その出来事は一瞬だった。
名無しさんさんは一瞬にして向かってきたその手を掴み、それに伴い向かってきた逆の手も掴み、
更にそれに伴って出てきた足さえをも防ぎ兵長の手から見事に短剣を奪い取ったのであった。
短剣を奪うだけでは物足りなかったのか、その後独特な動きで兵長を投げ飛ばした。
まるで、兵長の動きがすべて分かっていたような動きだった。
兵長は投げ飛ばされたものの宙でくるりと一回転し、綺麗に地面に着地した。
「見事だな」
「鈍ってないでしょぉ?」
にこっと笑って短剣を宙に浮かす姿に、恋をしたものは多いだろう。
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