dream long
□第4章
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歓迎会から一週間が経とうとしていた、兵士たちは目を丸くした。
当然だろう、なんせ
「おい、家畜。なんだその格好は」
「えぇ、なんだって、軍服だけどぉ?」
「スカーフを首にかけて、音のなる歩きにきぃ靴履いて、Yシャツのボタン第2まで開け、短ぇズボンに長ぇ靴下のどこが軍服なんだ、ああ?」
「リヴァイだってスカーフ巻いてるじゃあん」
「お前はかけてんだろうが」
「変わんないもぉん」
「そんなんだから上から降ってきたでけぇ石を避けらんねぇんだろうが」
「それとこれとは関係ないでしょぉ?!」
「関係大アリだ、家畜、雌豚に戻すぞ、この馬鹿名無しさん」
「ひどぉい!!!リヴァイよりも座学よかったもんだぁ!!!」
「うるせぇピーピー喚くな、削ぐぞ、なんで一週間我慢できてそのあとも持続できない」
「一週間すっごい我慢したんだよぉ?!もういいじゃなぁい!!!」
駄々をこねる名無しさんさん。
男子兵士、死亡フラグ。
「ちょっと!!!名無しさんさん!!!そんな格好いけません!!!」
「なんでぇ?エルヴィンはおっけぇって言ってくれたもぉん!!」
「そんなこと言うはずないじゃないですか!!!どうせ丸め込んだんでしょ?!」
「人聞き悪いなぁ、説得って言って欲しいぃ」
「あれは説得の内に入りません!!!いいから着替えてきてください!!!」
「もぉ、みんなうるさいなぁ、わかったよぉ」
そう言いながら自室に向かう名無しさんさんは堂々としていて素敵だ。
なんというか、大人の魅力。
「ハ、ハンジさん」
「どうしたんだい、エレン」
今日もハンジさんはそんな様子を見て嬉しそうだ。
「名無しさんさんって昔からああいう格好だったんですか?」
「うーん・・・そうだねー、兵長になってからはああだったかな」
まぁ、そんなところも名無しさんのいいところさ!
と嬉しそうに話すハンジさんを見てこの人は・・・と呆れざるを得なかった。
「ハンジィ・・・」
「どうしたの?名無しさん」
「ハンジならわかってくれるでしょぉ?この服の良さぁ」
「涼しくていいじゃないか」
「でしょ?!もぉ!!!上もお堅いんだから!!だったらもっと涼しい服作りなさいよ!!!」
両手を上にあげて叫ぶ名無しさんさん。
その手を後ろから掴むリヴァイ兵長。
そのまま連れて行く。
「リヴァイィ!!!離してよぉ!!!」
「黙れ、お前はエルヴィンに差し出す」
「やだぁ!!!エルちゃん軍服の話になると怖いんだもぉん!!!」
どうやら名無しさんさんの弱点はエルヴィン団長らしい。
「エレン」
「な、なんでしょう」
「君は、名無しさんの過去を知りたいんじゃ、ないのかい?」
「そ、それは」
新兵の誰しもが思ってることだった。
何故片目を隠すことになってしまったのか。
「新兵は、みんな知りたがってます」
「誰も、話してくれないだろう」
「はい、どの先輩に聞いても、答えてくれませんでした」
どの先輩に聞いても返ってきたのは無言。
どうしてなのかは、俺にはわからないけど。
「今夜、話す必要があると思う」
「今夜、ですか?でも明日は壁外調査なんじゃ・・・」
「だからだよ、」
「へ?」
「彼女の過去を知って、今回の壁外調査に挑んで欲しい」
「それは、どういう・・・」
「今夜、新兵を集めて食堂で待っててくれ、そうだな、9時がいい」
「は、はい」
そう答えるしかなかった。
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