dream long

□第6章
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「あ、助けて・・・ぁあぁあああ」


「おい!!!くっそ!!ガスが足りねぇ・・・!!」


「あああぁぁああぁあああぁぁあああ」



憎たらしい、なんて、思ってない。
ただ、


「あ、あれは・・・!!」


「お、お前なんか・・・!!舞姫がぶっ殺す・・・!!!」



面倒くさくて、早く壁の中に帰りたくて、
ひたすら飛んだ、切った、ガスなんかいらない。

アンカーを巨体に刺してうなじを切り落とす。


やつが手に握っていた兵士は容赦なく地面に叩きつけられる。
喰われるよりかはマシだ。


「おい、そこの兵士」


「は、はい!!!」


「そいつ連れて早く救護班のとこ行け、ここは任せろ」


「し、しかし!!!ここには後10体の巨人が・・・!!!」


「黙れ、そいつと一緒に死にたいか」


「・・・・了解、しました・・・!!!ご武運を・・・!!!」


「さっさと行け」



死んでたまるか、この野郎。


正面から2体、左から5体、右から3体。
進路は決まった。


一番左の巨人にアンカーを刺して少々のガスを吹かす。
いらないとは言ってもあった方がマシなのはマシだ。

横移動で一気に5体の項を削いで瞬時に正面の巨人を避け右の巨人にアンカーを刺す。
飛んでる間に刃は変えてある。


横移動は便利なもので一気に最大5体の項が削げる。

右の3体を蹴散らして近くにあった木に飛び移る。


「クソ面倒くせぇ、」



巨人に切りかかろうとしたその時、
巨人が急に倒れた。
どうやら足首を削がれて立てなくなったようだ。


「何してんだ、たいして息は乱れてねぇみたいだが」


「リヴァイが倒さなくたって私が倒してたっつーの」


リヴァイが足首を削いで立てなくなった巨人の項を削ぐ。
その間にもう一匹をリヴァイが削ぐ。


「一人で10体も一気にやろうとすんじゃねぇ」


「出来る奴がやって何が悪い」


「馬鹿名無しさん、何のための班だ」


「陣が崩れた今、班もクソもねぇ、」


「・・・・悪くねぇ」



ニンマリと笑うリヴァイと私には巨人の返り血が付いている。
蒸発する血を見ながら汚ぇと舌打ちをし、つぶやくリヴァイ。


「ほんと、きたねぇ」



指笛で馬を呼び走り出そうとしたその時




バァンッ


「黒の煙弾、奇行種か」


「リヴァイが撃て、私が向かう」


「だがお前、ガスが」


「十分足りる、早く撃て」



煙弾の方向に走り出す。
これ以上兵士を死なせるのは少々気が引ける。

リヴァイが止める声を尻目に向かった。




現場に向かうと見事に喰われる直前でまたか、と思いつつ項に切りかかり阻止する。


「あ、ありがとうございます!!!」


「気にするな、」



ついた血を払いながら言うと頭を下げられた。
そんなのはいいのに。


「お前、馬はどうした」


「きょ、巨人に投げ飛ばされてしまいました・・・」


「私の馬に乗って行け、」



指笛で呼ぶ。
来るまで少し時間がかかっている。


「しかし、」


「死にたいのか、お前」


「・・・ですが!!それでは「いいから行け、私は馬がなくてもいい」・・・了解しましたっ」



説得した兵士ににこっと笑ったその時、地面に影ができるのがわかった。
そして嫌な足音、その足音は不規則で奇行種だということがわかる。


「・・・・!!!そこをどけ・・・!!!」


「・・・・はい?」


「いいから早く、どけ・・・!!!」


「な、何を言って・・・!!!」



気づいたときにはもう手遅れで、私が押し出すしかなかった。
運良くその兵士は横に転び落ちてくるものから避けることができた。


「名無しさんッ!!!!」



リヴァイの声が聞こえる。
何かの下敷きになったことだけはわかった。
しかし潰された反動で地面に頭を打って気を失ってしまった。









ふわっと目が覚めて、気づくとエルヴィンの顔が映る。


泣きそうなエルヴィンの顔をよそに状況が飲み込めない私の手を誰かが握った。


強くはないが、力があった。


「心配させんな、馬鹿名無しさん・・・」


「リ、ヴァイッ・・・」



これはリヴァイの手だという事実を理解するのに時間はかからなかった。
いるの気づかなかったな。
というかさっきから右側だけ見えない。


「名無しさん、右目は、見えるかい?」



エルヴィンが恐る恐る聞く。
何故恐れているのかよくわからない。


ここで嘘をついてもなんだし、はっきり言おう。






「・・・見えないが」



空気が凍ったのがわかった。



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