dream long

□第10章
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「リヴァイィ!!!」


「何だ」


「町ぃ!!!行こぉう!!!」


「は」


「だって今日は休みだよぉ?!」


「そうだな」


「部屋に閉じ込もって本読むんなてぇ!!!折角の休みなのにもったいなじゃなぁい!!!」


「それは俺の勝手だ」


「ダメぇ!!!元兵長命令ですぅ!!!」


「なら兵長命令だ、今すぐ出て行け」


「行こうよぉ」



そう、今日は珍しく上官に休みが出た。
この間の壁外調査でけが人が多かったらしい。
一般兵は今日は主に掃除だ。

俺はもちろんの事ながら部屋の掃除を終えた後、本を読もうとしてたのにこの有様だ。


「ねぇ・・・」


「何だ、出ていけと言っただろう、埃が舞う」


「お願い!!!」



こいつは一度言ったら聞かない奴だったことを忘れてた。
本を開いてベッドに足を伸ばしながら座っているとその隣に座って俺の脇腹をつついてくる。


もしこれが名無しさんじゃなかったらこの部屋に入った時点でぶっ殺してるところだが。
コイツには貸しがあるし、何しろ拒否反応が出ないため黙ってやっている。


「クソメガネと行きゃいいだろ」


「ハンジに今日はソニーとビーンに付きっきりで行く暇ないって断られちゃって・・・」



・・・・アイツ、ぶっ殺す


この間アイツに「名無しさんと久々に二人で買い物でもしたらどう〜?」とか、色々言われたことを思い出す。
余計なお世話だ、

アイツはそのために嘘を言ったんだろう。


「ねぇ?だからお願ぁい!!!」



顔の前に手を合わして真っ直ぐに目を見つめてくる。
眼帯は付けていない、紅蓮色の瞳は光が反射してあいも変わらず綺麗だ。


開いていた本を閉じて置き、そっと右瞼を撫でる。


「リ、リヴァイ?」



いつもの口調はない。
コイツの口調が消える時はリラックスしている時だ。

昔は俺と同じ口調だったが。


「綺麗だな、」


「この間、リヴァイが直接書類を届けてこなかった時にドアノックされてリヴァイかと思って眼帯をつけないで出ちゃった、あははっ」


「おまっ、あははじゃねーだろ、見られたのか」


「うん、もうめんどくさくなって付けるのやめちゃった、でもね」



ははっと笑って目尻にしわを作る。

三日月型に綺麗に形を作った目はどこか悲しそうで、
こいつが抱えているものは、すごく重い。


「エレンにも、リヴァイと同じこと言われたんだ、瞳の色、綺麗ですって」


「あいつがか?」



・・・・・アイツ、今度シバく。
それは名無しさんを口説いたと俺は認識する。

それに気づいてない名無しさん、流石だ。


「うん、やっぱりリヴァイに似てるなーって思った」


「ああ?」


「なんとなくだよ?前から思ってた、どこがって聞かれたらわかんないけど、なんとなくそんな気がするの。」


「・・・・・そうか」


「怒った?」


「………いや、悪くねぇ」



にやっと笑うと名無しさんもにこっと笑って良かった、と言った。


「そんで!!!買い物!!!」


「わかった、行ってやるから」


「やったぁ!!!」



ぎゅっと抱きついてくる名無しさん。
ふわっと柔軟剤の香りがして、いい匂いに包まれる。


本当に年上か疑いたくなるような子供みたいな笑顔で笑いかけてくる。
もう失いたくない、そう思った。

ぎゅっと抱きしめ返してやると俺の頭を撫で始めた。


「おい、調子に乗るな」


「いだっ!!!」


「行くぞ、眼帯しろ」


「もう!!!拳骨しなくてもいいじゃない!!!」


「・・・・・行くの、やめるか」


「ああああああ!!!!ごめんごめん!!!私が悪かったから!!!ささ、行こう!!!」



荒く俺の腕を掴んで引っ張る名無しさん。
こういう雑なところは昔から変わってない。

廊下に出ると他の兵士がびっくりしたように目を開きながら見てくる。


「おお!!みんなお疲れ様!!!」


「あ、名無しさんさん、お、お疲れ様です」


「てめぇら、何見てる、さっさと掃除しろ」


「「「は、はい!!!」」」



揃いも揃って敬礼をする。
そんな奴らに頑張ってねぇと手を振る名無しさんはなぜだか綺麗に見えた。

そんな名無しさんに見とれているのは俺だけじゃないだろう。


「何買ってもらおうかなぁ!!!」


「おい、俺が買ってやるとは言ってねぇ」


「だってリヴァイの方がお金もらってるしぃ!!!」


「お前の方が貯金あんだろ」


「休養中に半分使ったのぉ!!!」


「ふざけんな、俺は奢らねぇぞ」


「食べ物くらいいいじゃなぁい!!!」


「黙れ、削ぐぞ」


「素直じゃないんだ・か・らぁ(はーと」


「きめぇ」



「「「あの二人、付き合ってんのか・・・?」」」


「・・・・・掃除をしろ」


「「「す、すみません!!!」」」




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