dream short

□※誘惑
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「ジャン〜?サボってないで練習しなよ」


「うるせぇ、俺は立体起動は訓練しなくてもできるからいいんだよ」


「あーあ、そんなこと言ってたら怪我するよ〜?」


「ほっとけってしつけぇな」



名無しさんは俺とマルコと同じ地区出身でトロスト区だ。
家が近かったからよく見かけていた。
昔から美人で、近所の餓鬼によくモテてたっけ。


「もう、マルコのとこ行こー」


「んぁ?!待て待て!!!行くな!!!」


「痛いよ!!!手首強く握りすぎ!!!」


「あ、す、すまん」



なんでマルコのとこに行かせないかって?
そりゃ、マルコが名無しさんのこと好きって事知ってるからに決まってんだろ。

そんで俺も名無しさんのこと好き、だ。
マルコはそのこと知ってたみたいだが俺に名無しさんが好きだと相談してきた。

堂々と、俺に宣戦布告してきたって事だろう。
あいつにしては大胆だ。


「もう!!!なんでよ!!!私もマルコと一緒にいたいもん!!!」


「はぁ?!お前それどういうことだよ!!!」


「まんまだよ!!!私もマルコとお話したい〜!!!」


「ちょ、お前デカイ声出すな!!!」


「なんで仲間に入れてくんないの?!最近いつもそうじゃん!!!」



少し泣きそうな顔をした名無しさんが俺に掴みかかってくる。
その反動で後ろにあった水溜にぶつかって倒れた。

もちろん、濡れた。
結構な量が入っていたみたいで名無しさんにもかかってしまっていた。


「冷てっ、てめぇ・・・!!!」


「ご、ごめんなさい!!!別にこんなことするつもりじゃなくて・・・・」



俺の上に跨がっている状態で俺に謝る。
いや、待て待て、この状態はおかしい。

今日は暑いから俺たちの上半身の服装はワイシャツとベルトだけだ。
水を浴びれば下着が透けるわけで・・・


「も、もういいから降りろ・・・」


「ジャ、ジャン怒った・・・?」



潤んだ瞳で見つめてくる。
俺の理性が本能と戦っている。

いや、正確には理性はもう負けている。
俺の精神力で持っているようなもんだ、うん。


「怒ってねぇから早くどけって・・・」


「絶対怒ってるじゃん!!!あ、今のギャグじゃないよ?」


「わかったって!!!いいから早くどけよ・・・」


「ジャンが許してくれたら、降りる・・・」



ふざけ。
こいつは俺に襲って欲しいのか。
濡れたワイシャツ、透ける下着、その上から体を縛り付けてるベルト。

好きな女のこんな姿を見て欲情しない奴はいない。


「もう許したからどけって言ってんだろ・・・!!!」


「やだ!!!」



前屈みになって睨んでくる。
ワイシャツのボタンは第2ボタンまで開いている。


直に下着が見えたその時、プチんと何がが切れる音がした。
これはきっと、俺の精神力が途切れた音。


「お前の、せいだからな」


「ほら!!!怒ってたんじゃッうわっ」



名無しさんの腕を引っ張って抱きしめると俺と名無しさんの位置を逆転させる。

つまりは俺が名無しさんの上に跨っている。
びっくりしたように目を開いて俺を見つめる名無しさん。


「へ?!ちょ、ちょっと?!」


「お前のせいだって言っただろ、責任取れよな」


「ど、どういうこと?!」


「いいから黙って俺に従え」


「やだッ・・・っちょっと・・・」





誘惑したお前が悪い



(助けてッ)
(お前、鈍感すぎだろ)
(名無しさん?)
(マッ)←口塞がれる
(なんでマルコがいるんだよ・・・)



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