泉孝介

□一緒に帰りましょう
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『いっずみーん!一緒に帰ろー!!』




「俺部活だっての。



…つーか、その呼び方やめろ」




『っえー!いずみん部活ぅー!?』




「…人の話聞けよ






『ぅー…、じゃ、待つ』




「……はぁ!?オマエ、そんな長い時間待てんのかよ!」



『いずみんのためなら、待てる!』



「あー、そーかよ……つーか頼んでねーけど」





…で、結局待つらしく、部活やってる間、ベンチに座って練習見てた。





コイツの前だと、どうしてもカッコつけたくなる。




田島とか、花井とか阿部とか…みんなが敵に見えてしょうがない。




他のやつになんか、目をいかせたくないから。















部活が終わり、一緒に帰る。





『いずみん、今日、超カッコよかったー!』




「今日だけ?」




『んーん、いつも!』





「…そー」




いつも言われてるけど、改めて言われると照れる。




「……な、キス、しねぇ…?」



『…は?』



「………嫌?」




『いや、じゃ、ない…』




「…じゃー、いいんだな?」



『…ぅん!』




顔、真っ赤にして頷く。










肩に手を置いても、なんの抵抗もしなかったから、




そのままコンクリートの壁に押し付けた。




柔らかな月の明かりが、二人を照らす。





『ん…む…っ』




優しく、啄むように口付ける。




うっすらと目を開けると、ほんのり頬が赤くなっていた。


顔赤くしている目の前のコイツが、もっともっと、とせがむようにして離そうとする唇に押し付けてくる。








「ん…、も、終わり、な」




『…いずみん…すきっ』



「おー、知ってる」



『なんだそれ』



「俺も、好き」



その言葉に満足げに笑ってみせれば、スルリと抜け出して、家の前に立つ。








『おやすみっ



















こーすけっ!!』





「…はぁ!?」











一緒に帰りましょう




(…たまには部活、待ってろよ)




(…一緒に、帰ってやるから、さ)




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