水谷文貴

□きみの名前、教えてよ
1ページ/1ページ





桜が舞い、私の目の前にはらりと落ちる。


今日は入学式があった。



私の隣の席には、中学が一緒だった、水谷文貴。





同じクラスにはなったことがないから、水谷くんは私のことは知らない、と思う。


でも、私はひそかに恋なんてしていたり…。







次の日、水谷くんに会うのが楽しみすぎて早く登校してしまった。


でも、隣に水谷くんの姿がない。




『……まだ、こないのかな…』


















「んー?誰がー?」






『わぁぁぁぁっ!!』





後ろを振り返れば、愛しの水谷くんのどアップ。



『ぎゃんっっ!!』





驚きすぎて、椅子ごと後ろに倒れてしまった。


水谷くんは、一瞬驚いたような顔をして、






「あっははははっ!!」




って、爆笑し始めた。







ヒィヒィとお腹を抱えて笑う水谷くん。




恥ずかしくなって、椅子を戻して座りなおす。






「はぁ、はぁ……きみ、面白いね〜」




『…ど、…ど、も』





恥ずかしい。

顔が熱い。






「ねーねー、きみって、俺と中学一緒だよね〜?」





椅子を引いて、隣に座る。





…し、…しってたんだ…。





「でもさ、なんか恥ずかしくて、名前聞けなかったんだよねぇ」




は、ずかしい…?




…ドキドキする、な。




初めて話す…。水谷くん、カッコイイな…





「あ、そーだ!」




肘をついて、私の目をみて、言った。







きみの名前、教えてよ


(あ、う、うんっ!)


(俺、水谷文貴、よろしくねー)


(あ、うん!しっ、てる!)


(え?なんで?)


(あっ……)



*

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ