長編

□隣の、きみ
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授業中、集中している泉を見る。


(カッコイイ…)


しばらく見ていると、頭がボーっとしてきて、まぶたが重くなってきた。



そのまま寝ていたみたいで、うっすらと目を開く。



誰かに頭を撫でられてる感触がした。


さらさらと、髪をすかれたり、優しく頭を撫でられたり。


(なんか、気持ちい…)


また、寝ちゃいそ…






じゃなくて!


目を見開く。



この撫でてる人、誰!?


ちょっと怖いんだけど!




意を決して、顔をバッと上げる、と。



「うわっ…」

って声が、聞こえた。



…まままま、待って!

この声、は…!!



『い、ずみ…っ!』


泉の顔が真っ赤になって、「えーっと…あー……」とかなんか言って。


「お前が、なかなか起きねぇから…その…」


二人して、真っ赤。


周りには誰もいなくて。



どうやら、6時間目とHR、寝ていたらしい。


どんだけ寝てんだ私。



『い、ずみ、ぶ…部活、は?』


「え…あ、あぁ。今日は、ない…」


『そ、そっか』




うわー、やだやだこの空気!

いつもみたいに笑ってよー!

お前、いつまで寝てんだよって笑ってよぉ!!





「あの、さ」


「…一緒に、帰らね…?」


『帰る!』



驚くくらいの即答に、ちょっとびっくりして。


じゃぁ行くぞ。

って席を立った。





いつもと違うよ、泉くん。



(いつもみたいに、バカにしなさいよ…っ)





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