長編
□空ノムコウ
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1 ホントのエース
…よし。
行くか。
今日から新入生として西浦に入学した私は、
親が知り合いだった百枝さん、もといモモカンに誘われて、野球部に入ることになった。
…あれ?
女子って…いいんだっけ?
…マネージャー、かな。
それとも………
ガシャンッッッ
『いだっっ…!!』
考え事をしすぎたのか、目の前にあるフェンスに激突した。
「ちょっと名前ちゃん、大丈夫?」
ふ、と
聞き覚えのある声がした。
『…あ、モモカン』
「さぁ!みんなが待ってるわ!早く行きましょっ!」
『え?みんな?あ、ちょっ…!』
ものすごい力でぐいぐい引っ張られる。
「…あら?」
急に立ち止まったモモカンの視線の先。
一人の男の子が、フェンスを覗いていた。
いきなり歩きだしたモモカンは、その男の子の肩をがっちり掴み、
私と共にぐいぐい引っ張った。
ニヤリと笑ったその顔は、
…悪魔のようだった。
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