好きと言えたら

□それから…と本音
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高尾のそんな気持ちの変化とウララにとって唯一無二の存在である高尾…


そんな二人の関係が深まるのにそう時間は掛からなかった…


そしてウララの自宅と高尾の自宅は同じ方向という事もあり部活を終えた高尾は決まって音楽室までウララを迎えに行くのが近頃日課となった今日この頃…


高尾は "同じ方向だしついでだから一緒に帰らねぇ?Wそう言ってウララを誘ったのが最初のきっかけであったのだが、本音を言うと暗い夜道を一人で歩かせる事が心配な気持ち半分と単純にウララと一緒に帰りたかった気持ち半分と言う事は高尾だけの秘密だ…




ガラガラ…!!


高尾「おーい?ウララ〜帰るぞ〜」


ウララ「あ…うんっ!ちょっと待って〜」


高尾「なにしてんだよっ?!早くしろよな!」


ウララ「ちょっ…と…急かさないでよぉ…」


ウララ「のんびり屋さんのウララは俺がこーして急かさなきゃ急がねぇーだろ!」


ウララ「くぅ…!!」





スタスタ…

スタスタ…



高尾の隣に並んで歩くウララ…


夕陽に照らされる二人の影。その距離がウララと高尾、二人の心の距離を比例するように縮まったのもまた今日この頃の事…


ウララ「あっ!!」


すると突然何かを思い出したウララは足を止め叫んだ


高尾「あ?どーした?」


ウララ「英語の教科書忘れたぁ〜!!」


高尾「またかよっ!!お前この間も数学のノート忘れたっつって戻ったんだぜ?いい加減帰る前にちゃんと確認しとけよなー」


ウララ「はぁ〜…ど〜しよぉ〜!明日一次元目に英語の小テストあるのにぃ〜!!」


高尾「ワリィけど、さすがにここまで来て今更引き返すのは勘弁だぜ?もう家目の前だし…」


ウララ「そ…!そんなっ…!酷いぃ…私このままじゃ間違いなく0点だよ〜ぉ…」


高尾「ハハッ!!常に成績優秀なウララでもたまには0点とってみるのもいい経験じゃね?!」


ウララ「そんな経験いらないよぉ〜!うぅ〜…どうしよぉ〜!高尾く〜ん!私ただでさえ英語が苦手なのにぃ〜!教科書がなきゃ勉強なんてできないょ…」


子供の様にベソをかくウララに対し渋々呆れた様に高尾はウララをなだめた


高尾「はぁ…ったく…しゃーねぇな〜!なら俺の教科書貸してやっから!それでいいだろ?」


ウララ「えっ?!高尾くん英語の教科書持って帰って来てたのっ?!」


高尾「何でそこで驚くんだよっ!!俺だってたまには勉強ぐらいするっつーの!!」


ウララ「クスクス…ごめんごめん?でも私本当に借りちゃっていいの?高尾くん勉強するつもりで持って返って来てたんでしょ?」


高尾「あ?そーだけど別に構わねぇーよ。どーせ勉強なんて気持ちだけで家帰ったら結局やらねぇーし」


ウララ「そーなの?でも…」


高尾「それに今から学校まで引き返すよりはよっぽどマシだかんな」


気を使うウララに高尾はそう話すとカバンから英語の教科書を取り出し優しくウララを見下ろすとパサッと頭の上に乗せた


高尾「ほらよ?いいから遠慮しないで使っとけ」


ウララ「えっと…じゃあお言葉に甘えてお借りします…」


恐縮気味に教科書を受け取るウララであったがそれを見た高尾はまるでその光景を手玉に取る様に意地悪そうに笑って言った


高尾「その代わり明日のジュースはウララちゃんのおごりだぜぇ?」


ウララ「えっ…?!教科書借りるだけなのにお金取るの?!」


高尾「そりゃ〜もちろん♪タダって訳にはいかないっしょ〜?」


ドヤ顔で笑みを浮かべ話す高尾に対し悔そうにウララは言った


ウララ「くぅ…これ…絶対タチの悪いカツ上げだよ…!!もぅ私明日からは絶対に忘れ物しないっ…!!」


高尾「ギャハ!ある意味いい戒めって奴じゃん?良かったなぁ〜!ウララ〜!」


ウララ「もぉ〜全然良くないよぉ〜」


高尾「ハハッ!そースネんなって!!」


そんなたわいも無い会話をしながら家路を歩く二人の間には常に笑いが耐えたかった…
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