好きと言えたら

□淡い想いと苦い想い
1ページ/7ページ



ウララ「マイちゃん帰ろう〜?」




球技大会最終日を無事終え各々の生徒が帰宅する中ウララはマイに声を掛けた


マイ「あっ…!ゴメン!私今日は金条先輩と帰る約束しちゃってぇ…」


申し訳なさそうに話すマイにウララは嬉しそうに答えた


ウララ「えっ?そーなんだぁ!一緒に帰るなんて凄い進展じゃん!良かったねぇ?マイちゃん!」


そんなウララの明るい反応とは裏腹に何故かどこか浮かない顔のマイ


マイ「ま…そうなんだけど…」

ウララ「…?」



マイ「でも…やっぱり金条先輩はずっと憧れてた先輩だからさぁ…私にとっては高嶺の王子様見たいな存在でぇ…」


ウララ「マイちゃんそこは高嶺の花じゃないかな…?」


マイ「だからねぇ…柄にもなく色々と無駄に緊張したり不安になったりするんだよねぇ…/今だって先輩の前でヘマこかないかとか考えるとメチャクチャ緊張しちゃってさぁ…/」


ウララ「…マイちゃん…」


いつも明るいマイが潮らしく小さくなり顔を真っ赤にさせ話す姿にウララは少し驚いたが、そんなマイがとても初々しく可愛らしいと思えたウララは力強くマイを励ました


ウララ「大丈夫だよっ!!」

マイ「…?」


ウララ「例えヘマをしたとしても、きっとマイちゃんならそんな所も逆に可愛いって先輩も思ってくれるよっ!!だって!今のマイちゃんなんかすっごく可愛いもんっ!!」


マイ「えぇ…/そっ…そうかな…/」


ウララ「うんっ!きっとそーだよ!」


真っ直ぐと自分を見据え自身満々に答えるウララの姿にいつもの調子を取り戻したマイは明るく笑った


マイ「ハハッ!なんかウララちゃんにそう言われたら妙に安心してきた よ?よーしっ!メイクもヘアーもバッチリ決めたことだしっ!そろそろ行こうかな?!ありがとね…?ウララちゃん」


ウララ「うん!じゃあまた明日ね?」


綺麗に巻かれた髪を揺らし颯爽と教室を出て行くマイの姿にウララの口元が優しくほころんだ


ウララ「クスッ…頑張れ…」




「いや…頑張るのはアンタの方だから…」



ウララ「ビクッ…!!」


突然背後から不意に呟かれた声にウララは驚き振り返ると、そこに立っていたのはやたら不機嫌そうな顔のユリだった


ウララ「ユリちゃん?!いつからそこに?!」


ユリ「いつからってゆーか!!なんでうららがまだ教室にいるの?!高尾は?」


ウララ「えっ…?」


ユリ「えっ?じゃないわよっ!今日も高尾と一緒に帰るんでしょ?!」


そんなユリの言葉にのんきな笑顔で答えるウララ


ウララ「帰らないよぉ〜?今日は練習ないし高尾くんも球技大会中は部活休みって話してたしね?だからユリちゃんと帰る〜」


そんなウララを冷め切った視線で見たユリはキッパリと言い放つ


ユリ「私は一緒に帰らないよ」

ウララ「えっ?!な…何で?」

ユリ「私今日用事あるから。」


切り捨てる様に冷たくあしらうユリの言葉をよそに相変わらずマイペースに答えるウララ


ウララ「なら私もその用事に付き合うよ〜何の用事?どこ行くの?買い物?」


ユリ「いや…来なくていい!ってか来んな!!」

ウララ「ひどっ!!」


余りに鈍いウララの反応にさすがのユリもイライラし本題を突き付ける


ユリ「ってゆーか!!せっかく高尾が好きって気持ち気付いたのに!アンタ今日だって何でいつもと同じ態度なの?!ってか!何で一緒に帰らないの?!高尾帰っちゃうよ?!」


その言葉にウララは気まずそうに答えた


ウララ「だっ…だって…今更その気持ちに気付いた所で…どう接したらいいか分からないし…それに…帰りだってぇたまたま下校する時間がお互い同じってだけで…それでいつもは高尾くんが迎えに来てくれるから…一緒に帰るって感じだけど…今日は別に一緒に帰る理由もないし…高尾くんも迎えに来てくれないし…」


イジイジと話すウララ言葉を聞いたユリは重い頭を抱え深いため息をついた


ユリ「はぁ…呆れた…」


ウララ「なっ…!」


するとユリは気を取り直したかと思うと突然人差し指をウララに向け罵倒する


ユリ「アンタはどんだけ受け身な訳?!ホイホイ高尾が尽くしてくれるまで私は何もしないってか?!アンタはお姫様かっ!!」


ウララ「そっ!そんなつもりじゃ!」


ユリ「いい?!恋愛って言うのは待ってるだけじゃ何も始まらないの!!自ら掴みに行くものなの!!白馬に乗った王子様なんてクソくらいよっ!毒りんごなんか食らっても自力で悪い魔女蹴散らして自らお城の門くぐってやる勢いじゃなきゃ自分の気持ちなんて伝わらないのっ!お分かり?!」


ウララ「は…はい…」


そう強く言い切るユリの言葉に思わず圧倒されるウララであったが、それでも構わず話を続けるユリ


ユリ「だいたい!口実なんてもん今更関係ないでしょ?!ウララから普通に誘えばいいだけの話じゃん!ってか!さっき廊下で高尾と話してたのに何で誘わなかったの?!…はぁ〜…私も薄々感付いてはいたけどさぁ…まさかアンタが恋愛に対してここまで幼稚だとは正直思わなかったわ…」


ウララ「クゥ…でっ…でも…自分から誘うなんて…それって物凄く勇気がいる行為ではありませんか…/?」

ユリ「勇気と恋愛はイコールです!!分かったらとっと高尾んとこ行く!!」

ウララ「えっ…?!」

ユリ「えっ?じゃない!!アンタおじ気づいて一人で帰ったら明日マジでヤキ入れるかんね」


ウララ「ヤッ…ヤキっすか…?姉御!それは勘弁です!」

ユリ「とにかく!分かったらさっさと行動に移す!じゃあ私先帰るから?」


有無も言わせぬ言葉を吐き捨てツカツカと教室を後にするユリ


ウララ「あっ…ちょっと!ユリちゃん!!」


一人取り残されたウララは肩をすくめ重いため息をついた



ウララ「はぁ…どうしよう…」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ