好きと言えたら
□好きと言えたら…
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あれから月日は巡り…三年になったウララ
ウララ「…進路かぁ…」
先程担任から配られた志望校と書かれた用紙を前にぼんやりと頬杖を付くウララ
ウララ(高尾くんは何処の高校選ぶんだろう…??やっぱりスポーツ専門の高校かなぁ…)
当たり前の様に過ぎ行く時に何の疑問も不安も感じなかったウララだが進路という新たな道を目の前にようやくここで一つの問題点気付く
ウララ(…あれっ…?ちょっと待って…そうなると私と高尾くんは卒業したらお互い別になるって事…?!)
考えてもみなかった将来に漠然とした不安を抱えたのち停止寸前の脳を叩き起こすように問題を一つ一つ整理する
ウララ(なら、いつもの様に学校で話す事も…一緒に帰る事もなくなって…高校に行ったら高尾くんとは一切顔を合わせなくなるって事…?)
ようやく導き出した答えに只々、真っ白になるウララの心に新たな不安材料が迫り来る津波の様に一気に押し寄せた
ウララ(それに高尾くんは元々世渡り上手だし…友達をつくるのだって凄く上手いし…高校に行ったら間違いなく人気者…⁉︎それで高校での生活が充実するあまり私の事なんか忘れて行って…もしかしたら彼女なんかもできちゃって…)
止まらない妄想と最悪の未来予想図に顔面蒼白のウララ
ウララ「…どうしよう…」
無意識に呟いたはずの独り言に何故か言葉を返される
「どうしようって何が?」
ビクッ…!!
ウララ「った…!高尾くん?!」
そこには頬杖を付くウララと向かい合う様にしゃがみ込みこちらの顔色を伺う高尾の姿が
ウララ「っど!どうしたの?!」
高尾「お前昨日俺にこのCD貸してって言ってたっしょ?だから、わざわざ届けに来てやった訳〜」
ショート寸前の意識の中、突然現れた高尾の存在に明らかに動揺の色を隠せないウララは取り乱し話す
ウララ「えっ?あっ!CD?!そっ!そうだったねぇ!わざわざありがと!」
すると高尾は眉をひそめ不愉快な表情で答えた
高尾「ってか…さっきから何回もウララの事呼んでたんだぜぇ?なのにお前すっげぇ〜顏で固まってるし…なに?腹でもいてぇの??」
ズケズケトした高尾の問いに思わずムッとするウララ
ウララ「ちっ…!違うっ…!お腹なんか全然痛くないしぃ//」
高尾はそんなウララを困惑気味に見送ったのちフッと机に置かれた用紙に視線をおき悟る
高尾「なんだぁ!進路の事かぁ〜!そーいや俺も出さねぇとなぁ…希望校の用紙」
そう何気なく放つ高尾の言葉にウララは威勢良く反応した
ウララ「えっ?!高尾くん!!希望校もう決まってるの?!」
高尾「あぁ。とっくに決まってるぜぇ?っつっかその高校しか眼中にねぇーし」
表情一つ変えぬ高尾を前に興味津々なウララはグイグイと高尾へ身を寄せる
ウララ「どこ?!どこ?!」
高尾「あれ?お前に話した事なかったっけ?…ってか顔近けぇーから…」
ウララ「あっ…ごめん…ついっ…//」
やや息苦しそうに突っ込む高尾を見たウララはようやく冷静さを取り戻し今更ながら恥ずかしさが込み上げる
ウララ「えっとっ…それで?高尾くんが行きたい高校ってどこなの?」
そう言い乗り出した体をゆっくり椅子へ戻し問いかけるウララに高尾はサラリと答えた
高尾「秀徳高校っ!!」