好きと言えたら

□再再会
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時は遡り現代へ…


独り言の様に始まった高尾の想い出話…


夕日暮れなずむ頃合いだった空はすっかり真っ暗になり、話の途中たまたま見つけた公園のベンチへ腰を据える二人の横には時折カチカチと揺れる街灯が照らしていた…


すると全ての過去を話終えた高尾はそれを締めくくる様に最後の想いを語った


高尾「俺とウララはそのイザコザがあって以来なんとなくお互い避ける感じになっちまってさぁ?…結局あれから一度も口も聞かねぇ〜まんま卒業を迎えたって訳よっ」


そう言い高尾は凝った身体を解す様にグゥーっと両手を上げて背中を伸ばし見上げた街灯にそっと視線を落とすとシオらしく呟いた


高尾「まぁ…今だからブッちゃけ言える話だけどさぁ?アイツの過去も弱さも良い所も全部ひっくるめて、誰よりも一番理解してんのは俺だって…そん時はマジで思ってたし、アイツを護れんのもぜってぇ俺しかいねぇ〜なんてっ…大それた事を本気で思い込んでた訳…フゥッ!その自信は一体どっから湧くんだって感じだけどっ!…まぁ…けど…そんな不思議な存在だからこそ…俺はアイツにあの時誓ったのかもな…」



遠い目で語る高尾の脳裏に僅かに色褪せてしまった記憶から、あの時の始めてウララと交わした約束をボンヤリ思い出す…











「あのさ?こんな事言うのはすげぇー俺の勝手かもしんねぇんだけど…一つ約束させてくんねぇ?」


ウララ「約束…?」


「これから先どんな事があっても俺の手はお前を傷付けたり泣かせたりしねぇから…だからなんっつーの…?上手く言えねぇけど、せめて俺の事だけは信じてくんねぇーかな?」










そんな淡い想い出も今では苦過ぎる過ち…


そんな罪悪感を振り払う様に高尾は苦し紛れに笑って話す



高尾「プハッ…!自分からあんな約束しておいて、思いっきりそれを裏切るとかっ…!マジで勝手な話だよなっ?まぁ〜おかげで俺はウララに告る以前にこっぴどく嫌われちまったってオチっ…ハハッ!マジでひっでぇ〜話っしょ?!」


それまで、ただただ沈黙を貫いて居た緑間だがここへ来てようやく重い口を開いた


緑間「確かに自虐ネタとしてならば傑作だな…そしてっ…!!話しが長過ぎるのだよっっ!!!」


高尾「わりぃ!わりぃ!ついっ話始めたら止まんなくなっちまって〜!ってか?そんな事言ってるワリに真ちゃん随分と真剣に聞き入ってたじゃん??」


からかう高尾にムキになった緑間はすかさず言葉を返す


緑間「だっ!誰がっ!!貴様の話など!!ただお前が勝手に許可なく、そのくだらん話を続けていたから俺は仕方なく付き合ってやったまでの話なのだよっ!!」


高尾「はっは〜ん?またまた〜!そんな事言っちゃってぇ〜?本音は真ちゃん俺の恋バナ興味津々だったんじゃないの〜?」


緑間「だからっ!違うと言っているのだよっ!!妙な解釈をするなっ!!」


高尾の冗談を否定する緑間は気を取り直す様に先程買ったおしるこの缶を一口口に含ませ一息つくと、静かに口開いた


緑間「まぁ何にせよ…客観的に見た俺の感想を一言で述べるのならば…全くもって実に愚かで、くだらぬ身の上話であったのだよ。フン…つくづく時間の無駄だった」


高尾「ひっでぇ!!そこまで言う?!」


その声にも微動だにしない緑間は無頓着に答える


緑間「自から好いた女を護り抜く事は愚か、自身の気持ちをも貫き通す事も出来ぬとは…同じ男として風上にも置けぬヘタ中のヘタレなのだよ」


高尾「くぅ…悔しいけど否定は出来ねぇぇぇ…!!」


まごつく高尾を横目で見た緑間は静かにに話す


緑間「いずれにせよ…お前がそこまでバスケに打ち込めるのは、その失恋と言うのが功をそうしたと言う事だ。過去はどうあれ問題は今…。恋愛などくだらぬ気の迷いに過ぎんっ!そんな浮ついた精神などで出来るほどバスケは甘くないのだよっ!」


…カラーンッ!!…


緑間はそう言い切ると同時に飲み干した缶をゴミ箱へ得意のホームで投げ入れた


正確かつ確実に決まった空き缶はカラーンっと気持ち良くゴミ箱へ響き入ると同時にその光景に言い知れぬ爽快感を覚える高尾


高尾「ハハッ!さすが真ちゃんっ!!言ってくれるねぇ〜?まぁ…でも逆にそゆ〜所がツボなのかもな?そゆ〜気の迷いも真ちゃんには通用しねぇーし、過去のもんも、みんな真ちゃんといると叩きのめしてくれちゃうからっ…!だからこそ俺はお前と居て楽なのかもなっ?」



親しみ深く笑う高尾をチラリと見た緑間は得意気に鼻をならした


緑間「フンッ…」






そんな高尾の切なく恋うる想い出話は、薄暗い夜の灯火と共に流れ繰り返される明日の朝日へと静かに消えて行った…
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