好きと言えたら
□織姫と彦星
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そんな出来事から数日たったある日
あれから数日が経ち、互いに見え隠れする、もどかしい様な複雑な感情を紛らわす様に高尾とウララは別々の生活の中で日々慌ただしい日々を送っていた
高尾「ったく…!!せっかくの休日だってのに他校と練習試合とかっ!マジで俺らどんだけバスケ好きなんだよ…!!」
緑間「うるさい。黙って歩くのだよ」
この日、秀徳高校バスケ部は他校との練習試合をするべく開催場所へと向かう途中だった二人
春が過ぎ去りかけた空には鉛色の分厚い雲が流れ雨が降りしきっていた
そんな中ビニール傘を片手に一段と気だるそうに話す高尾
高尾「っつーか?ウチの高校の体育館使えばよくねぇ?何でわざわざ俺らが出向かなきゃならねぇー訳?おまけに雨とか…マジで最悪だぜぇ」
緑間「今日はバレー部が体育館を占領している故にうちの体育館で試合をするのは困難なのだ。つべこべ言わず黙って歩くのだよ高尾」
高尾「へいへい…」
そんな緑間の注意に背筋を丸める高尾の横で不意に何かに気付いた緑間が一点を見つめながら目を凝らす
緑間「ん…?アレは確か…」
高尾「あ?どったの真ちゃん?」
その様子に気付いた高尾も緑間の視線の先に目を向ける
チラ…
高尾「ウララ…?」
車道を行き交うトラックや車の隙間から見えたのは、高尾達が歩く歩道とは反対側の歩道を見知らぬ男性と腕を組み相合い傘で歩くウララの姿だった
ウララ「クスクス…ねぇ〜?帰りにケーキ屋さん寄ってもいい?この間美味しいお店見つけたんだぁ!」
「お前また食うのか?そんなに食べたら太るぞ?」
ウララ「甘いものは別腹なのぉ〜」
背丈の高い大学生風の男性は見覚えのあるカエル柄のピンクの傘を手に、ウララに寄り添って歩く
そんな二人の姿を高尾は思いのほか冷静に見送る
高尾「…」
すると高尾の様子を横目で見た緑間は意味深に問いた
緑間「随分と親しげな関係のようだな?」
その問に高尾は一泊置いた後に、すんなりと言葉を交わした
高尾「まぁ〜あいつも年頃の娘だしぃ?そりゃ〜彼氏の一人や二人いても別におかしくねぇ話っしょ?」
緑間「…」
そう話す高尾の顔色を静かに伺う緑間の元へ突然、怒鳴り声が響いた
「おい!1年ども!何ボーッとしてやがる!刺すぞ!コラァ!」
その声に反応した高尾は慌ただしい趣きで再び歩き出した
高尾「やっべ!!宮地さん超〜キレてんじゃん!!ほらっ!?行くぞ!真ちゃん!」
緑間「フン…分かっているのだよ」