The☆Trip

□一瞬の光
2ページ/2ページ



衝撃だったのか、有実は本当に20分でこの家に到着した。

うちはチャイムが鳴ると同時に玄関に駆け込み階段を降りていった。



―― ピンポーンッ



香「はっ、はーい!……いって!まってまって!」



勢いよく転んでしまうが、立ち上がって身の回り整えてド扉を開けた。

すると、有実も息を整えながらぽつんとその場に立ち尽くしていた。

うちは深呼吸をして、家の中に招き入れた。



香「ごめんね?汚くて………」


有「いつものことだから気にしてないよ……」


香「んなっ!冷たいなー……」


有「それよりも……リヴァイ兵長は……?」



やはり有実の目的は、進撃の巨人の漫画に出てくるリヴァイ兵長のようだ。

うちは苦笑いをしながら部屋に招き入れた。

有実は、部屋に入いるとすぐに漫画が置いてある机すぐ前に座った。

早く読みたいという気持ちが伝わってきた。




香「まだ、開けてないから開ければいいよ」


有「いいの?じゃあ、開ける……」


香「うち、飲み物とってくるから読んでていいよー!」


有「うん……読んでる……」



ゆっくりと頷きながら、丁寧に漫画の折り目がつかないようにページを開いていく。

そのことを確認したうちは、急いで飲み物を取りに台所に向かった。

台所の冷蔵庫から飲み物を取り出し、コップに移す途中どこからか声が聞こえてきたのだ。



『この世は楽しい……?楽しい……?』


香「えっ……?誰?いない……?まあ、いっか……」



その時は空耳だと思い部屋に戻っていった。

その声が神の声ということを知ぬまま……。

部屋に戻ってみると熱心にそれも、慎重に漫画を読む有実の姿があった。

その隣に座って飲み物がこぼれないよう静かに机の上に置くとすぐさま飲み物を手に取り口に運んだ。

目を輝かせながらも漫画を丁寧に読んでいた。



香「面白い?終わったら次読ましてー」


有「当たり前、面白くなかったら読まないよ……後で返す……ちょっと待って」


香「分かった………待ってるー!」



うちはだらけながらし読み終わるのを待っていることにした。

そして1時間程度で読み終わり寝いているように見えたのかたうちを起こして漫画を押し付けるようにこちらを見つめてきたのだ。



有「ほら、読んだよ!もう、リヴァイ兵長やばい!」


香「んー………そんなに?」


有「そんなに!あの病んでるような顔に細い目……性格も全部かっこいい!」


香「じゃあー……次はうちが読む番だね……そん何かっこいいなら読み応えがありそうだ……」



うちは漫画勢いよく開き読み出す。

有実が言うように面白く読み出すと止まらなくなった。

だが、うちは好きなのはエレンの方なのでエレンが出ている場面を読み返していた。

有実は、リヴァイ兵長が見たいのか肩を掴んで後ろから顔を出してきた。



香「ホントに面白いね!確かにリヴァイ兵長かっこいいわ……」


有「でしょ?!ほんとにやばいよねー……」


そして、たわいも無い話をしていると先ほどの声がした。

今度は先程よりもはっきりとした声だった。

ようやく異変に気づいたうちは、有実と一緒に目を合わせていた。




『この世は楽しい……?楽しい?ここは……楽しい?』


香「この声って………さっきの……」


有「楽しい……?って、楽しいわけないよ……」


香「有実……うちも、楽しくない!全然楽しくない!」


『ならば、新しい世界へ連れて行ってやろう……』


「「えっ………?」」



そして突然辺りが光り始めたのだ。

それが先程の光の正体だ。

だが、目を開いていれないので目を強く瞑るしかないのだ。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ