どうか、

□ハンジさんとメイド服
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※ハンジside


徹夜三日目。窓を締め切った暗い室内で巨人に関するレポートをひたすら仕上げていた私の所に部下のモブリットが顔を覗かせた。


「いい加減寝てください分隊長!もう三日目ですよ!?」

「うん、これが終わったらね」

「その台詞は昨日も一昨日もその前の日も聞きました。いい加減にしないとこっちも実力行使でいきますからね」


そう言うや否や、モブリットは私からペンを取り上げ椅子から引き摺る様に立たせた。


「あああ!何するのさ!あとちょっとなのにぃぃ!」

「分隊長のちょっとは信用なりません」


ピシャリ、と言い切られた事に子供の様に唇を尖らせる。ジトリとモブリットを見ると呆れ顔を返された。酷いや。ふとそこで机に見知らぬ包みが置いてある事に気が付いた。


「ねえモブリット」

「はい?」

「この包みは何だったかな」

「ああ、それでしたら先程分隊長宛ての荷物として受け取ったので届けにあがったんですよ」

「私宛て?」


はて、何だろうか。なかなか上品な包装を施されているが、それを気にもせずビリビリと雑に破く。床に落ちた屑は溜め息を吐きながらもモブリットがしっかり拾ってくれる。全く出来た子だ。最後にカッチリとした箱の蓋を開けると中から覗いたのはモノトーンの布切れだった。


「分隊長…それは……いったい…」


窓を開ける作業を終えたモブリットが振り返り、陽の光に晒された私の手にあるものを指して言う。


「んー……ああ!思い出した!新兵の歓迎会でリヴァイに着せようと思って発注したんだった!」



「ぶふぅっ!」

「え?どうしたのモブリット。急に吹き出して」

「ど、どうしたって着せる気だったんですか!?それを!リヴァイ兵長に!?」

「そうだよ?リヴァイの身長に併せてオーダーメイドしたから新歓には間に合わなかったようだけどねー」


私は手にした布を―――所謂メイド服と言うものをヒラヒラと揺らしながらそう言った。モブリットが「分隊長…生き急ぎすぎです…」と零した言葉は敢えてスルーさせてもらった。



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