どうか、

□先輩方と出会う
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※ハンジさんと!


見知らぬ先輩にハンジ分隊長がお前を呼んでいる、と連れて来られたのはハンジさんの研究室。

何というか予想以上に暗い。闇の魔術でもしてるのかって雰囲気だ。そして言っちゃ悪いが汚い。足の踏み場に困るほど物が溢れかえっている。あ、今何か踏んだ。


「やあやあやあ、君が噂の新兵だね?えーと名前は…」

「名無しさん・名無しさんです」

「そうそう名無しさん!私はハンジ・ゾエ。気軽にハンジさんって呼んでよ」

「は、はい」


生ハンジさんだ!こんなモブにまさかハンジさんとお話イベントが訪れようとは。まさか何かのフラグだろうか。


「あの、私は何故ここに呼ばれたのでしょう?」

「ん?ああ、噂の新兵ってのがどんな子なのか気になってね。うーん…卒業成績は中の上ってとこだし、見た感じやっぱ弱そうなのに、この前は随分活躍したらしいねぇ」


弱そう…分かってるけどちょっと傷付いた。というか…本当にあの初陣以来ずっと噂の新兵だの期待の新人だのと囁かれ、ぶっちゃけた話いい加減迷惑だ。私みたいなこれと言った特徴の無いモブはもっとこっそり暮らすべきなのだ。本棚の陰とかで。


「あの、その話なんですけど…本当にあれはまぐれで、私の実力なんかじゃありません。班の皆の助力があったからだと思います」


「ふむふむ。そりゃあ名無しさん一人の力な訳無いけど、名無しさんに力があったのもきっと事実さ。見た目に反してね!」


ハンジさん、さっきからその私のビジュアルに対する鬼畜発言は何なのですか。新兵いびりですか。


「強さってのはただ立体機動が上手くて力があってって訳じゃないんだ。冷静な考え、チームワーク、心構えなんかでも随分結果は変わるものだよ」

「はい…」

「班長からの報告だと、名無しさんは随分行動に落ち着きがあったとある。名無しさんはあの時何を考えて戦ってた?」


何を考えて?どうしよう私禄でもない事しか考えてないよ。この真面目な雰囲気で言える内容じゃないよ。(あ、何これ駄洒落みたいになった)ここは誤魔化すか…?いや、無理だ。ハンジさんの目が光っている。この人の力じゃ私の薄っぺらい嘘など速攻暴かれてしまう。正直に…正直に言うしかないのか…!?


「大した事ではないのですが…」

「うんうん!何だい!」



「…………あの時の私は……ゴキ●リを駆除する事を考えていました!」

「そうかそうか!ゴキブ………へ?」

「ゴキ●リです」

「ん?」

「駆除するんです。ゴキ●リを」

「ちょっと待ってくれ名無しさん。まさかの解答過ぎて流石の私も混乱してるんだ。どういう意味なのか…い、一からお話してくれる…?」



何て事は無い。言葉通りだ。おそらく、人類の殆どはあの黒光りする生物を駆除する事に心を痛めたりはしないだろう。コン●ットやらゴキ●ェットやら様々な殺戮道具が生み出されているのだから。私の中では巨人もその類に分類されるのだ。ハンジさんは違う視点から巨人を見ている様だが、私からすれば人類の敵、始末すべき存在、それに過ぎない。だからこうして立体機動装置と特殊なブレードという対巨人用の武器が与えられた今、私はスプレーを持ちゴキ●リと対峙する戦士と同様なのだ。つまり、私の中で巨人を駆逐する事も、ゴキ●リを駆除する事も何ら変わりない。デカいから何だ。巨人が何だ。奇行種だって、ゴキ●リが突然此方に飛んできた時の衝撃と大差無いじゃないか。私は強い…ゴキ●リより強い…すごく強い!…ので私は…巨人共を蹴散らせることができる。


と言うのが私の一種の暗示療法なのだ。実際?怖いに決まってんだろバーロー。


「あはははははははははははははははははははははははははははは…っ…ぐ、ゲホッ」

「だ、大丈夫ですかハンジさん」

「っふぅ…いやあ名無しさん!実に面白い発想だよ!しかもそんなのであんだけ動けるんだ!今度から訓練兵の授業に取り入れようか、名無しさん式暗示戦闘法!」

「いやいやいや冗談ですよね?やりませんよね?」

「私はやる」

「こんな所でそんな良い台詞使わないでください!しかもキメ顔で!」


何とか名無しさん式暗示戦闘法の採用は取り止めてもらえたがハンジさんは不満そうだ。


「そうだ!じゃあ代わりに名無しさんのその頭を貸しておくれよ!」

「え?取り外しはちょっと無理…」

「名無しさんって意外とボケ体質?そうじゃなくて私の研究に是非君の意見が欲しいんだよ!名無しさんとなら何か新しい道が開けるきがするんだ!」

「う…お手柔らかにお願いします……」


そう答えると、ハンジさんは早速モブリットさんに二人分のコーヒーを用意させ、今夜は寝かせないよ?とお決まりのジョークを囁いてから嬉々として巨人について語り出した。寝かせないの意味は異なるが、事実私は次の日の朝までハンジさんのマシンガン巨人トークに付き合わされ寝不足になった。


ハンジさんからの好感度がアップ!寝不足ルートをクリア!

今やっとエレンの気持ちを理解しました…。




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