シリーズ

□にゃーん
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進級し高校二年生になって数日。春麗らな暖かい朝です。寝坊日和、二度寝日和、お昼寝日和。あー学校行きたくね。しかし真面目な私は嫌々と思いながらもしっかりと学校までの道のりを歩んでいるのだった。



(おや)


「ニャー」

「おぉ…にゃーん!」



そんな道中何とも可愛らしい猫くんに遭遇。まだ子猫なのか、体も小柄で声も高い。はああ可愛いいい!ちょっとその体を撫でさせてはくれませんかお嬢さん!?(何か変態くさい)



「ニー」

「にゃー」

「ニー、ニー」

「んー?にゃん」

「ナァーオ」

「…ふむ、さっぱり分からん」

「何が?」

「うおあっ!?」



にゃん………ゲフンゲフン、……何だ!?


……可愛い猫くんと戯れてたら後ろから突然声がー振り返ってみるとそこには中学からの同級生、橘真琴――通称マコちゃんすっとこどっこいが突っ立っていましたバーロー。



「あの、何で俺朝から睨まれてるの?」

「そうだ今のは無かったことに。私何も噛んでない。噛んでないよ」

「名無しさん?話聞いてる?」

「大丈夫、聞いてない」

「…うん、全然大丈夫じゃなかった」



さっきの台詞はカットでお願いします監督さん。チョキチョキ。



「マコちゃん今日は如何しまして?」

「今日“も”ハルを迎えにね」

「そっかそっかー。本当に甲斐甲斐しいねー。お疲れ様です」

「そう思うなら名無しさんも手伝ってよ、ハルを連れ出すの」

「私は今猫語をマスターするのに忙しいので」



しかしさっきの可愛い猫くんは私の声に驚いて何処かへ行ってしまった。残念。まだマスターできていなかったのに。



「猫語なら今度俺が教えてあげるから」

「マジっすか!マコちゃんすげぇー!」

「うんうん、だから名無しさんもハルを……ってちょ!名無しさん!手、スッゴい血出てる!」



うお、マコちゃん驚き過ぎ。デカい声出し過ぎ。そんな青い顔でわなわなしなくても、これ位の怪我じゃ私は死なないよ。



「さっき声にビックリした猫くんにやられた」

「やられたじゃないよ!何で早く言わないの!」

「えー」

「ハルん家で救急箱借りよう!ほら早く!」



早く早くってお母さんか君は。……そういえばお母さんだったね、ハルの。


怪我の無い手首のところをぎゅっと掴まれる。何だか君達には引っ張られてばっかだなぁ…と、大きなマコちゃんの手にぐいぐいと腕を引かれながら既視感を覚えるその背中をぼんやり眺めた。




(こら!三人とも遅刻ですよ!)

(す、すみません!ハルが鯖なんて焼いてるから!)

(鯖を馬鹿にするな)

(今日は何も無いと思ったらコイツらの遅刻に巻き込まれた…!)




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