わるいこと
□ゆくへ不明
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「こういったものは不馴れなもんでな、少々壊しちまうだろうが……」
と、そう男は口の端をあげて煙の中でニヤリと嗤った。
〔月鏡――後日談〕
この日、ベジータは崩壊した。明らかに奇行であると思っていたものに騙されて忘我してしまう。はっ、はと熱い息を弾ませ、または震わせながら細かいことに集中していると自分の世界に入って抜け出せなくなるように。
「地球女、俺様の手解きをよーく味わうんだな」
などと、白く柔らかな肌を吸いながら視線を上げていやらしく言い放つ。
ベジータは意外にも努力家だった。慎重に進めてしまうのは戦闘でも同じであるように、タイプの違う人間に対しての見極めには少々時間がかかる。
あの時も、この時も、その時も、手探りでやってきた。
「……は…………はぁ」
今日も、ブルマの入浴中に突然押し入りソレは始まった。当然ブルマは抵抗し、怒鳴るも続かない。言わずもがな、ところ構わず触れられれば興奮も士気も上がってゆく。たとえ一方的でも感度が正常ならば時間を忘れて続いてしまう。
そうして、愕然とするような出来事に遭遇してしまうこともある。
「……」
「もう……離れ……て!」
湯けむりの中、温められた彼女の肌は一層柔らかく紅色し、水分を得て潤いに満ちている。誘う誘わないの話以前に、この肉体に騙されたのかと思うほど男の足は進む。
ただ、ブルマの気持ちが着いていかない。
「シケタ面しやがって、そんなに退屈なら――」
「退屈なんて、言う前にっ、アタシは同意していないんだからあ〜」
強引に進む時間に燃える筈もなく、ブルマは唇を歪めた。
あの日を境に、明らかに変化した男事情は自分を性処理の一部にしか思っていないということだろうと、ひとつ、ひとつの時間を思い出してしまうというのに。
「や……やめてったらっ!」
「だが……助けを請うことが難しいと、この体は証明しているが?」
そうこうする間に彼女は力が抜ける寸前にまで追いやられていった。認めたくなくとも、あらゆる部分が熱い。
ベジータは更に脅迫をがさつに、探りを入れながら彼女の変化を愉しみ顔を覗く。
すると覗かれたブルマはハタハタと心臓が苦しい。新たな時間の始りに修正が利きそうにない――!
その時、まごつく彼女の腰が引かれた。ぐっと奥へ奥へと突き入られた指は蛇腹状に滑り、彼女をゾッと悶えさせる。
「やあんんっ!」
ベジータは、そこの具合を確認するかのように何度も大きく回し、震わせると指が肉壁に強く挟まれる。
「いい頃合だ」
しかし、言うと同時にやって来る不快感。男の口角は下がったままだ。やや焦ってしまうのは何故かと己の体を見据えると一目瞭然だった。
ーーああ、こっちの事情が追い付かない。
チリチリする下腹部は熱い鼓動を波打ち、指やら何やら操ってくる。自ら暴いてしまった明らかな体質変化に難儀を強いられていた。体は三日と待たずに生理現象を湧かせ、過去の反動をくれるからだ。
「いやだってっ」
「駄目だ」
嫌がる体を無理矢理開くと、体液を大きく広げていた。それを竿で辺りに塗りたくると、女は逃げる所か腰を浮かせ、すり寄って来る。
「なんだ、体は、じゅうぶん乗り気じゃねーか」
しらりと言うを男の手が彼女を滑った。無骨な手のひらの中で無様に興奮し、はみ出す乳首が男の目の前に飛び出した。その、見開く黒目に初々しさが感じられ、ブルマの心は一瞬で、きゅうと締まった。
ブルマはからかう気持ちなど一つもなかったが、彼女の顔から余裕を察知したベジータは、腹を立てて乱暴に吸いはじめた。
乳房をじゅ、じゅっと行儀の悪い音を立て、口のなかで歯を立てられ、悲鳴に似た抗議がつづく。
「痛いっ! 痛いって」
しかし凶悪な顔が眉間のシワを深く寄せ、まっ黒い瞳が寄り目になるほど集中する様に、ブルマの母性が又しても羽上がる。いつしか、しなやかな腕がベジータの頭を抱いていった。
(んもう、可愛いんだからぁ)
「焦らないで、ゆっくり……よ」
「いちいち……ムカつく女だな!」
男は、カリっと乳房をかんだ。まるで罰だというように。そうして、わざと舌を駆使し、あらゆる部分を舐め回す。すると1分、2分と過ぎた頃にはブルマは力なく強靭な男にもたれ、優雅にしなりはじめた。
これはもう男の癖に身を染めてしまったのかと思うほど、その身は開放されて、それから、甘い声が、後から後から出はじめる。
「あっ、あっ……ああ」
頬紅を足したようなブルマの顔が微笑を浮かべ、夢心地になってゆく様をベジータは見つづける。
色を変えた先端をはじき、そっとつまむと甘い息を漏らされるが、時々ブルマは怨めしそうに唸るので何かと監察してしまう。
どうやら吸われる度に乳頭が歯先にこすれ、舐めると痛むらしい。
「いっ……はあ……下手くそ! 痛いんだって……ばあん」
そうして遂に、本音が漏れた。恍惚な表情だが、吐息と一緒に出した文句はベジータを驚かせた。